なんでもかんでもはむり

書きたいものだけ書く。音楽、映画、本がメイン。

今週の事々(2018/12/10〜16)

  • 音楽論文紹介

試験的にこのエントリーの一部としてはじめてみたいと思います。まだまだ論文のディグり方がよくわかってないので不定期になるとは思いますが。今回は初回ということで本当にたまたま目についた論文です。今後はもっとディグって面白い論文を見つけられればと思います。

academic.oup.com

ビートボクサーとギタリストでは音楽を聞いている時に活性化する脳の分野が異なる」という研究。前者では口の動きに関係する部分が、後者では手の動きに関係する部分が活性化するらしい。音楽を演奏する人としない人でも脳の動きに違いが出るらしい。

これは音楽を演奏する人なら結構納得する結果ではないだろうか。自分が演奏する楽器にどうしても耳が行ってしまう。僕がメタルばっかり聴いてた頃はドラムのフィルインとかパターンの変化には耳が行くんだけどどうしてもギターソロになると耳を休めてしまうくせがあって、名演とされるギターソロも途中から聴くのをやめてしまうというのが結構あった。

この音楽経験と脳の活動に関してはこれまでクラシック音楽を用いた研究が主流だったらしい。クラシック音楽を演奏する人なんてのはそれこそ歯も生え変わる前から楽器を演奏していて、そういった環境で育った人なら脳の動きに違いが出るのはある意味当然とも言えるんだけど、今回の研究でこういった「後天的に」演奏を学ぶポピュラー音楽でもそのような違いが出ることがわかった。

面白いのはこの実験に用いられた音源(ビートボックスの音源とギターの演奏の音源)は、被験者が初めて聴くものであることが前提なのでこの実験のためにわざわざ作られたらしい。しかもビートボックスの方はReeps Oneという結構著名なビートボクサーが作曲。この論文の共著者として名前もクレジットされている。

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この人、学術的な分野との交流が深いらしく、いろんな研究の対象にされてきたらしい。

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これは彼の脳とビートボックス初心者の脳の動きを比較した研究。初心者は一つ一つの音に入念に注意を払って音を発するから色んな部分が活性化しているけど、Reeps Oneは長年の練習の蓄積によってより少ない分野のみをつかって演奏ができるらしい。

↓今週触れた作品のリスト↓

<音楽>

Audio Two『What More Can I Say?』(1988)

Aztec Camera『High Land, Hard Rain』(1983)

Black Sabbath『Paranoid』(1970)

Clifford BrownClifford Brown with Strings』(1955)

Clifford Brown & Max Roach『Study In Brown』(1955)

Daia『Mind of Legend』(2018)

DJ OAKAWRI『Perfect Blue』(2018)

DOTAMA『MAJESTIC』(2018)

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今年最低の日本語ラップアルバムは言xTHEANSWERとEINSTEINのコラボアルバム『Two Pawns』だと決めていたのだけれど、ここに来てそれをさらに下回るゴミカスアルバムが登場。人がさんざんこすってるトピックをつまらないユーモアめいたものでラップする1曲目「働き方改革」を聞いてもうげんなり。これに比べるとCreepy Nutsがもうそれはそれはかっこよく聞こえちゃう(最近のライブで披露してた「生業」の映像を見てやっぱR−指定ってめちゃくちゃラップ上手えなって思ってしまった)。人気のバトルラッパーSAMを迎えた「READY」もMCバトルをテーマにしてる時点でありがちかつつまんない。極めつけは「冷血」という曲で、その中に

「年収300万以下の男は男じゃねえ」

反論できない俺はクズ これでも頑張ってる

出身は同じ学部 けれども天地の差の収入

お前が勝ち組で認める けれどもお前の嫁はブス

 というラインがあって、それはそれはもう目も当てられない最低の歌詞でもう本当に失望した。気持ちが悪い。嫁は男の飾りなんですか?「毒舌キャラ」だと何を言っても良いんですか?事あるごとにヒップホップへの愛を語ってる人ではあるけど、こんなラップばっかりしていて恥ずかしくはないのだろうか。

自伝も出して、CMもたくさんやって、いわゆる「サブカル」界ではかなりの知名度があって、人気もそこそこあるとなると、いくら「フリースタイルダンジョン」とかやって日本のヒップホップがマス層に届いたとしてもその最前面にいるのがこんなラッパーならもう限界が見えてる。本当に最悪。最悪でしかない。

Evidence『Weather or Not』(2018)

GOBLIN LAND『Be Creative』(2018)

Gucci Mane『Evil Genius』(2018)

Helen MerrillHelen Merrill with Clifford Brown』(1955)

The Jack Moves『Free Money』(2018)

JID『DiCaprio 2』(2018)

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「ポスト・Kendrick Lamar」街道まっしぐら。先輩J. Coleとの師弟関係というのもDre とKendrickっぽい。スキルあり、リリックのウィットあり、あとは爆発的な名曲あるいは名盤がドカンとウケれば一気にアイコンになるかも。でも毛色が似すぎてて難しいか。

Juaneco y Su Combo『El Brujo』(1975)

Kacey Musgraves『Golden Hour』(2018)

Lil Cherry『Sauce Talk』(2018)

Lil Peep『Come Over When You're Sober, Pt.2』(2018)

LowPass『Mirrorz』(2013)

Lui Hua『I - EP』(2018)

Mariah Carey『Caution』(2018)

lissa Laveaux『Radyo Siwel』(2018)

Minchanbaby『都会にまつわるエトセトラ - EP』(2018)

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やっぱりこの人が日本のヒップホップ界を引っ張ってる。トラックもラップも最先端。メタルヘッズとしては「この先は崖ですか」のMetallica「Battery」サンプリングに度肝を抜かれる。

Mom『PLAYGROUND』(2018)

MU-TON『RIPCREAM』(2018)

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これがそれほど優れた作品かと聞かれるとそうではないんだけど、昨今の「バトルブーム」みたいなものが一つ目指すところがあるとしたら、こういう才能がバンバン出てくることなんじゃないかな。バトルで名を挙げたラッパーがちゃんと「かっこいい」作品を作る。そういうサイクルがちゃんとできるならブームに対してやいのやいの言うことも少なくなりそうなもの。

Nina Hagen Band『Unbehagen』(1979)

Refugeecamp『Always From Here』(2018)

SUSHIBOYS『350』(2018)

Tempa T『It's Bait It's Bait』(2018)

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2009年に発表した「Next Hype」で一気にUKアンダーグラウンドシーンのど真ん中に現れたTempa Tのデビュー作(ミクステもあるがアルバムは初?)。2014年からアナウンスされてはいたもののリリースされていなかったプロジェクトらしい。21曲75分というボリュームにはいささか辟易だが、とにかくノれるゴリゴリしたラップが中毒性あり。グライムはやっぱりダンスミュージックだなあ。

Vessel『Queen of Golden Dogs』(2018)

Yellow Magic OrchestraYellow Magic Orchestra』(1978)

Ymagik『Blind - EP』(2018)

YMG『1999』(2018)

うしろ指さされ組『ふ・わ・ふ・ら』(1986)

カーネーション『天国と地獄』(1992)

釈迦坊主『HEISEI』(2018)

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日本のクラウドラップもここまで来たか、という大傑作。トラックがどれもいいなー(曲中でのエディット・展開のさせ方が特に素晴らしい)と思ってたら全曲セルフプロデュース。すんげえ。客演陣もいい仕事してる。高ラにも出てたAnatomiaが今シーンでこの位置にいるのも良い。

食品まつり a.k.a. foodman『Moriyama - EP』(2018)

曽我部恵一『ヘブン』(2018)

高槻POSSE『P.O.P.』(2018)

焚巻『ONEDAY ONETIME』(2018)

七尾旅人『billion voices』(2010)

七尾旅人『Stray Dogs』(2018)

<映画>

『ヴェノム』(2018)

トゥルーマン・ショー』(1998)

<書籍>

長谷川町蔵・大和田俊之『文化系のためのヒップホップ入門2』(2018)