チェスター・ベニントンの死を悼んで。

朝、寝ぼけ眼で携帯を開くと母からのメールが。

「大丈夫?あまり落ち込まないで、気をしっかり持って!一回、思いっきり泣こうか。」

えーと・・・?たしかに就活はうまくいかなかったけど、それ相談したのはずっと前だしな・・・と働かない頭に鞭打ち考える。そして一つの可能性にたどり着いた。誰かが死んだんだ。

スマホのニュースアプリを立ち上げて、そこに現れた文字を読んだ瞬間、ぼくは言葉を失った。チェスターが、自殺した。

年を召したロックレジェンドの死ではない。命を懸けて競技に参加しているF1ドライバーの死ではない。それならまだ割り切れる。でもなぜ。なぜ彼が死に向かわなければならなかったのか。5月に新作を出したばかり。11月の来日公演に行こうかなんて後輩と話していた矢先の死だ。最初はなぜ、なぜとそれだけを頭の中で繰り返していた。

7月20日はクリス・コーネルの誕生日だったらしい。彼が敬愛するボーカリストだ。そして今年の5月に自殺した。その死が彼にそこまでの影響を与えていたとは。

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先週こんな記事を書いたばっかりだ。

ファッションがダサくなっても、ギターのブラッドがライブで打楽器を担当し始めても、マイクが歌い始めても、ジョー・ハーンが全然スクラッチしなくなっても、ぼくはこのバンドを聴き続けている。多分解散してしまったらどのバンドよりも悲しいと思う。ぼくにとってはそういうバンドだし、ずっと応援していきたいなあ。

解散よりも先に訃報を聞くとは思ってなかった。本当に。これまでもAvenged SevenfoldのThe RevやSlipknotのポール、ロニー・ジェイムス・ディオやレミー、クリス・スクワイアなど多くの訃報を耳にしてきたけれども、ここまで惚れこんでいたミュージシャンに死なれてしまったのは人生初。だから少しばかり感謝と共に思い出話をさせてください。

彼を始めて見たのは、スカパーの音楽チャンネルで流れていた「One Step Closer」のMVだった。

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Shut up when I'm talking to you

小学6年か中学1年の時分だったと思う。とにかくこれまで自分が聴いてきた音楽とは全く異質のものがそこにあった。スクリームという歌唱方法も、怒りをそのまま音にしたようなヘヴィネスも、腕に纏ったタトゥーも、ぼくにとっては新鮮なものであり、なによりもかっこいいと思わせてくれるものだった。中学の美術の時間に『好きな音楽について』というテーマで「Shadow Of The Day」というへたくそな絵を描いたりもした。

そこからすべてが始まったんだ。気がつけばぼくは彼らのアルバムをすべてそろえていたし、もっと激しいのを求めてメタルを聴いていたし、BURRN!を読み始めていた。音楽を聴くという営みが、生活の一部になっていた。リンキン・パークという土台があったから、ヒップ・ホップにもすんなり入ることができた。彼らがアルバムごとに見せる違う色が、ぼくの世界を広げていった。今あるぼくの土台を作り上げたのは、紛れもなくリンキン・パークであり、あのMVのなかで逆さになって叫んでいたチェスターだ。

ラップ・ロックを脱却した3rd『Minutes to Midnight』(2007)以降は特に、彼のボーカルには円熟味がのり、ロック界随一の美声を聞かせてくれた。

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攻撃的な曲も、誰をも包み込むようなバラードも、どちらもここまで歌いこなせる人なんてそうそういない。ホントに惜しい人を亡くした。

ロック界のミュージシャンのみならず、Chance The Rapper、きゃりーぱみゅぱみゅらほかの業界からも次々と追悼コメントが寄せられている。軽くTwitterを覗いたところLEON a.k.a. 獅子(第8回高校生ラップ選手権王者)、ちゃんみななど若い世代のアーティストにも彼の歌声は届いていたことに驚いた。

チェスターよ、あなたの音楽を聴いて育った人たちがどう萌芽するのか見れなかったのが悔やまれる。ほんとなんで自殺なんかしちゃったんだよ・・・あなたの歌を生で聴けなかったのが僕の悔いです。ご冥福をお祈りします。