なんでもかんでもはむり

書きたいものだけ書く。音楽、映画、本がメイン。

今週の事々(2018/11/05~11)

  • アラン・P・メリアムの音楽分析モデルとヒップホップ評論

先日授業でアラン・P・メリアムという音楽人類学者の『The Anthropology Of Music』(1964、邦訳も音楽之友社から1980年に出版されているが、現在は絶版)という文献の一部に触れる機会があったのだが、そのなかで彼が提唱している音楽を分析するさいに有用であるアプローチ法と分析モデルが興味深かった。 

彼が音楽分析にあたって重要視しているのは、外部からの視線による「analytical evaluation(=分析的評価)」と、その文化の中に視点を置き、内部からの評価を試みる「folk evaluation(=民間評価)」の二つの見方である。彼はこの両方が分析には欠かせないとしており、どちらか一つでは広範で正確な音楽分析は望めないとの主張をしている。

ここでぼくが思い出したのはKダブシャインによる一連の「文化系批判」のなかのこのツイート。

 彼は以前にもこのようなツイートを。

 彼の主張はメリアムの音楽分析モデルで言うところの「folk evaluation」に重きをおいたものになっており、外部からの視線である「analytical evaluation」に偏っているヒップホップライターへの批判となっている。

彼が批判するところのヒップホップライターも、彼の主張そのものも、内部・外部それぞれからの視線しか持ち合わせていない。メリアムが重要だと説いているのは両者の視線をあわせた複眼で音楽(ここではヒップホップ)を分析することであり、内外の視線を止揚することの重要性である。

そしてぼくの感覚で言うと、ぼくは多くの優れたヒップホップライターがそのような書き方を実際はしているように思う。Kダブシャインは自身がプレイヤーということもあり、もっと内部からの視点で評論してほしいと思っているのだろうが、彼が「ニュートラル」「客観的」だと思うようなテキストでも十分「folk evaluation」的な視点を持ち合わせているのかもしれない。どこまでがニュートラルなのかという線引きは極めて難しい。

さらに、メリアムは先人たちの引用を用いて音楽を「社会・文化的集団によってはじめて音楽となる、パターン化された行為」と定義している。これは従来の「音楽学」が西洋の音楽のみを対象として音楽を定義していたことへの批判から生まれた定義であるが、ぼくはこれは極めて重要なことであると思う。

つまり、音楽が作られ、聞かれ、彼らの共感を得、広まっていくためにはどうしても社会というものを基盤にせざるを得ない。よって彼は音楽を分析する際に「音楽そのもの」にのみフォーカスすることは間違っていると主張する。

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このChildish Gambino「This is America」がリリースされた際(いろいろありすぎて忘れがちだが、これは今年の曲!)、「この曲は音楽やリリックを聴いただけでは政治的であると言えない、だからMV込みでセンセーショナルだと騒ぐのは違う」というような意見も散見されたが、それは「音楽そのもの」にフォーカスを絞り過ぎであり、このような表現を可能にした(承認した)基盤であるところの「社会」への眼差しが欠けている。

あるいはケンドリック・ラマーの来日広告の際も「ケンドリックは決してポリティカルなラッパーとは言えない」という意見が見られたが、それも同様に「音楽そのもの」への分析に重きを置きすぎたゆえの反応であろう。ケンドリックがなぜ現代の社会においてそのようなシンボルたる存在になったのか、その理由まで考察しなければ十分な分析とはいえまい。

断っておきたいのはぼくは音楽人類学の専門家ではないし、もちろんメリアムのこの理論に対する批判というものもあるのだろうけれど、ぼくは今回文章を読んでかなり共感したし、その上で自分の音楽分析とは、といったことについても考えることができた。

というわけで、これから(不定期になるとは思いますが)音楽関する学術論文を紹介する試みもやってみたいと思っています(ポッドキャストバイリンガルニュース』的な。分かる人はわかると思う)。英語力を鍛えることにもなると思うし。

↓最後に今週触れた作品のリスト↓

<音楽>

Action Bronson『White Bronco』(2018)

Amos Lee『My New Moon』(2018)

Awich『Heart - EP』(2018)

Awich『Beat - EP』(2018)

Big Lad 『Pro Rock』(2018)

Bliss Signal『Bliss Signal』(2018)

Dizzy『Baby Teeth』(2018)

Gang Starr『Step In The Arena』(1990)

HUSH『換句話說』(2018)

Interpol『Marauder』(2018)

Kandace Springs『Indigo』(2018)

Kelly Moran『Ultraviolet』(2018)

Kid milli『AI, the Playlist』(2018)

KOWICHI『Value』(2018)

Lil Baby & Gunna『Drip Harder』(2018)

Makaya McCraven『Where We Come From (Chicago x London Mixtape)』(2018)

Miles Word『Duck's Juice Mix 5 - Mixed by DJ ZASSYCHEE』(2018)

MINAMI NiNE『LINKS - EP』(2018)

MINT『After School Makin' Love』(2007)

2007年の時点でサウスをこのレベルで解釈して日本語に落とし込んでいることの凄まじさ。2018年のアルバムだとして聴いてもギリギリ聴けるという。

Paul McCartney『Egypt Station』(2018)

Paul Simon『In The Blue Light』(2018)

Phony Ppl『mō’zā-ik.』(2018)

Pig Destroyer『Head Cage』(2018)

Ross From Friends『Family Portrait』(2018)

Ruth Brown『Rockin' In Rhythm - The Best of Ruth Brown』(1996)

The Songbards『The Places - EP』(2018)

Swizz Beatz『POISON』(2018)

Takeoff『The Last Rocket』(2018)

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Migosの中でも最も地味と言われがちなMCのソロが、トリオのソロ作の中で一番良かった。トラップ中心でありながら、ちょっとファンキーな曲もあったり実は多才。

TENDRE『NOT IN ALMIGHTY』(2018)

Yung Lean『Poison Ivy』(2018)

角銅真実『Ya Chaika』(2018)

スチャダラパー『スチャダラ大作戦』(1990)

近田春夫『超冗談だから』(2018)

トップハムハット狂『THEME OF THHK』(2018)

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ニコニコ動画で活動していたMCのソロ作。ニコラップって耳障りがとにかく良くて、実は結構好き。実は日本語でのラップ表現の可能性を広げた重要な文脈なのかもしれない。

フィロソフィーのダンス『ザ・ファウンダー』(2017)

<映画>

『アルジェの戦い』(1966)

<書籍>

大林稔『愛しのアフリカン・ポップス リンガラ音楽のすべて』(1986)

今週の事々(2018/10/29~11/04)

<音楽>

ACE COOL『present progressive - EP』(2018)

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いわゆる「Dirty Kansai」勢の中でも、その唯一無二の声とフロウで圧倒的存在感を誇るACE COOL。個人的にかなり推してるラッパーのひとりでもある。ダークで内省的な曲が多いのも◎。特に表現者として生き続けることを切に願う「Dark Yamamoto」に圧倒される。KEN THE 390のDREAM BOYに所属してるっていうのが意外だけど。

Age Factory『GOLD』(2018)

Anomalie『Métropole Part II』(2018)

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モントリオール出身のキーボーディストの新作EP。めちゃくちゃ音が綺麗。最近のBrandon Colemanとも共鳴するようなフューチャー・ファンクサウンドだけど、もっと上品な感じがあるのは、やっぱりクラシックの素養を学んできたバックグラウンドがあるのかも。

Apollo Brown & JOELL ORTIZ『Mona Lisa』(2018)

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今年の夏に出たLocksmithとのコラボアルバム『No Question』が各所で大評判なデトロイトのプロデューサーが、今度はブルックリンのJOELL ORTIZと手を組んでアルバムをドロップ。もちろんこのアルバムも思いっきり懐古趣味のブーンバップサウンドで、バックパッカーたちは大喜びの男気あふれるヒップホップ。めちゃくちゃかっこいいんだけど、でも時々2018年にこれを聞く意味を考えてしまう。Locksmithとのアルバムはそんなことを忘れさせてくれるほどのかっこよさがあったけど、これはそうじゃない。ラップはめちゃくちゃうまいんだけどね。

Ashford & Simpson『Solid』(1984)

Benny Sings『CITY MELODY』(2018)

Black Eyed Peas『MASTERS OF THE SUN VOL.1』(2018)

Chic『C'est Chic』(1978)

Comethazine『Bawskee』(2018)

David Byrne & Brian Eno『Everything That Happens Will Happen Today』(2008)

ERA『Culture Influences』(2018)

GAGLE『3 MEN ON WAX』(2002)

Georgia Anne Muldrow『Overload』(2018)

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10周年アニバーサリーアルバムも楽しみなBrainfeederからの最新リリース。ビートも自分で作るR&Bシンガー。いかにもBrainfeeder的なビートに重点が置かれたビートがかっこいい。昔の曲は結構オーガニックだったりするんだけど、このアルバムはとにかくバキバキ。

Gwen McCrae『Something so Right』(1976)

Itaq『曖昧』(2018)

Issac Hayes『To Be Continued...』(1970)

Jóhann JóhannssonMandy (Original Motion Picture Soundtrack)』(2018)

Joji『BALLADS 1』(2018)

KM『FORTUNE GRAND』(2018)

Lennie TristanoLennie Tristano』(1956)

Lou Donaldson『Blues Walk』(1958)

MC TYSON『MESSAGE II』(2018)

MUTE BEAT『FLOWER』(1987)

Necro『Gory Days』(2001)

NORIKIYO『馬鹿と鋏と』(2018)

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中堅〜ベテランの域なのにとにかく活動が精力的(すでに次のEPは仕上がっているという噂も)。言ってることも面白いし、ラップの仕方がとにかく板についてるというか、とにかく安心感がある。

Peter GabrielPeter Gabriel 4: Security』(1982)

Pink Floyd『The Piper at the Gates of Dawn』(1967)

Quentin Miller『Q. M.』(2018)

Self Scientific『The Self Science』(2001)

Sweet William x Jinmenusagi『la blanka』(2018)

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 今年はなかなかジャパニーズ・ヒップホップ界で突き抜けた一枚がないなあと感じていたところにこのダブルネーム・アルバムが。一聴して「ジメサギのラップやっぱ強いなあ、SWのビートが霞むなあ」とか思ってたけど何周もしてるうちにラップの強度が実はビートの強度の上に成り立っていることがわかって、ただただ感服してしまった。唾奇のときほど騒がれてはいないし、確かに印象としては地味だけど、ものすごく良いアルバムであるのは間違いなし。WONKによるリミックスも素晴らしかった。

VaVa『Idiot - EP』(2018)

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去年出したアルバム『low mind boi』以降精力的にシングルなりEPなりを出し続けていて、なかなか良くて好感が持てる。なかでもこのリード曲「Make It」は涼しげな四つ打ちのダンスチューンで気持ちが良い。でもTHE OTOGIBANASHI'S周辺のクールネスとはちょっと違った、ソウル感というかぬくもりが感じられるのがいい。というか要はダサくない。

Wu-Tang Clan『Wu-Tang Forever』(1997)

Young Nudy『SlimeBall 3』(2018)

Yves Tumor『Serpent Music』(2016)

Yves Tumor『Safe In The Hands Of Love』(2018)

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これまた凄まじいアルバムが出た。とっつきにくさととっつきやすさが奇妙に共存した奇っ怪な音楽。急いで前作も聴いたけれどそこからの飛躍具合も相当なもので、その謎に包まれた存在感含めてこれからもっとすごいことになっていきそう。

青葉市子『qp』(2018)

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アルバム自体も良い出来だったのだけれど、ここではこの夏にSweet Williamと共作したシングルの動画をば。SWのスクエアなビートに対してちょっとシャッフル気味にのるウィスパーボイスが最高のチルアウト空間を作り上げる名曲。

寺内タケシとバニーズ『バニーズ誕生〜レッツ・ゴー寺内タケシ』(1966)

冬にわかれて『なんにもいらない』(2018)

<書籍>

セブ山『インターネット文化人類学』(2017)

ルイス・ハミルトンはF1界のポップ・スターである

2018年のF1世界選手権は先日のメキシコGPの結果により、あと2戦を残してイギリスのルイス・ハミルトンメルセデスAMG)がチャンピオンに輝いた。

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これは彼にとって5度目の戴冠(2008,2014,2015,2017,2018)となり、7度のワールドチャンピオンに輝いたミハエル・シューマッハに次ぐ2位タイ(マヌエル・ファンジオと同率)の記録保持者となった。

確かに2014年のパワーユニット規定の変更後、メルセデスチームは一貫して強いマシンを作り続けていて、それが彼のチャンピオン獲得に大きく貢献していることは疑いの余地がない。しかし、チームメイトだったニコ・ロズベルグフェラーリセバスチャン・ベッテルとの対決の中で一貫した強さを発揮し(彼はポイントの取りこぼしが本当に少ない)、ここ5年で4度もタイトルをもぎ取っていることは驚嘆に値する。し、このまま行くと「破られることはないだろう」と言われてきたシューマッハの通算勝利数、あるいはタイトル獲得回数の記録を破ってしまうことすら大いに考えられる。

これだけでも彼の才能の稀有さがよくわかるというものだが、ここではそんな彼が放つ「存在感」について語ってみようと思う。いまのF1(あるいは他のレーシングカテゴリ)において、彼のような雰囲気をまとった人間はいないのではないだろうか。その魅力に迫りたい。

一言で言えば、彼は「スター」、スターの中でも「ポップ・スター」であるようにぼくには感ぜられるのだ。

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レーシングドライバーがスターであることはなかなか想像できないかもしれないが、2014年の映画『ラッシュ / プライドと友情』でクリス・ヘムズワースが演じたジェームズ・ハントを思い出していただければわかりやすい。派手なルックス、モデルとの交際、荒れた私生活・・・そこにあるのは古き良き時代のロックスターのようなパーソナリティである。

でもこれは70年代の話。まだまだF1、ひいては自動車レースというのが牧歌的だった時代であり、テクノロジーによる車の制御、自動車メーカーを始めとする大資本の参入、安全性を重視した技術規定などがこのような人間をレースから追い出してしまう前の話である。

ハント以降のF1は(アイルトン・セナのような傑出した存在はいたものの)、アラン・プロスト(あだ名は「プロフェッサー」)、ミハエル・シューマッハセバスチャン・ベッテルなど、「勤勉さ」「精密さ」を特徴とするドライバーが活躍し、「実力勝負」の様相を呈していった。この事自体は素晴らしいことだしスポーツとしては健全だとは思うが、このような性質によってF1というスポーツが人間性の希薄なものになっていたように感じられる(もちろん、だからこそアクシデントや接近戦によって「垣間見える」人間性により輝きが増しているのである)。

・・・さて、前置きが長くなってしまったが、ここでいよいよルイス・ハミルトンの登場である。

1985年にイギリス・ハートフォードシャーで生まれた彼は、アフリカ系イギリス人の父とイングランド人の母を持つハーフであり、黒人としては初のF1ドライバーである。このことはあまり重要視されていないような気がするのだが、極めて西欧中心的なF1というコミュニティにおいてかなり衝撃的な出来事であったように思う。

ちなみにバスケ、アメフトに続いて自動車レースが人気である自動車大国アメリカでも、レーシングドライバーに黒人はほぼいない(女性ドライバーは一定数いるのに)。 やはり始めるにあたって経済的ハードルが高いというのもあって、未だに「白人文化」の色が強い。

ハミルトンはそのような出自でありながら、しかも名門・マクラーレンから華々しくデビュー、翌年には当時最年少である23歳でチャンピオンを獲得。

こんなセンセーショナルな存在であることの代償か、彼はしばしばメディアの批判の的となった。一度だけ厳しめのペナルティの裁定に対し「僕が黒人だからじゃない?」という発言をし物議をかもしたこともある。

  • スターと浮き名を流す

そんな彼は私生活がものすごく派手だ。公道でタイヤを空転させて罰金を食らったりなんて事もあったが、華やかなのは女性関係。元・Pussycat Dollsのニコール・ジャーシンガーは元フィアンセでよくレースの現場にも来ていたし、その後もリアーナとの交際が報道されたりしていたが、つい最近のニュースではなんとニッキー・ミナージュとの交際が噂されている。

www.cosmopolitan.com

しかも彼自身音楽活動にも参加していて、カニエ・ウェスト(祝・開眼)からアドバイスを貰ったことも。この記事ではレース当日の朝3時まで曲作りに励んでいたと書かれている。まじか。

www.thesun.co.uk

今年発表されたクリスティーナ・アギレラのアルバム『Liberation』の中の一曲、「Pipe」にもXNDAという名義で参加するなど、なかなか精力的。

そんな交友関係を持つ彼のインスタグラムは、もちろんながらかなりイケてます。

 
 
 
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タトゥーもクールだし、今年は一時期編み込みのヘアスタイルも試していて、まあ行ってしまえばめちゃくちゃハンサム。 

しかも今回のタイトル獲得に際しチームのピットから無線が飛んだのだが、その声の主はなんとウィル・スミス。

youtu.be

なんだかいろいろ並べ立ててしまったけども、彼がレーシングドライバーとしてだけではなく、かなりセレブリティ的な「イケてる感じ」を持っていることがわかっていただけただろうか。

  •  何よりもファンが大好き

F1ドライバーは良くも悪くも運転ギークみたいなところがあって、レース後のインタビューとかでもすぐにマシンやタイヤ、戦略について語り始めたりするのだが彼はどこに行っても「ここのファンがベストだよ」みたいなリップサービスを忘れない(もちろん本気で言ってるのかもしれないんだけど)。

www.youtube.com

最近の彼は勝ちすぎてアンチが多く、表彰台ではブーンイングを受けることも少なくない。それでもこういう姿勢を貫いているのはスポーツ選手と言うよりはやっぱりポップスターというか、エンターテイナーとしての自覚がそうさせているように思う。

  • 最後に

ここまでかなりランダムに、そして大雑把に彼の「スター性」のようなものについて書いてきたが、やはりそれがいまの時代のF1にピタリとマッチしているように見える。

F1というスポーツの運営はかなり最近まで旧態依然な体制だったのが、2016年にアメリカのリバティ・メディアがそれを買収してからYouTubeでの動画配信が始まったり、TwitterInstagramなどのSNSを駆使した情報発信がなされるようになった(もっと早くやるべきだったのは間違いない)。そんな時代において、#Hammertime(ハミルトンが追い上げるタイミングを示すハッシュタグ)に顕著なように彼の言動、ドライビングはSNSに「映える」。まさに時代が生んだスターだと言える。

これからもF1の人気を牽引していってほしいものです。

今週の事々(2018/10/22~28)

今週はあまり実りの多くない週だったので、かなり縮小版で。すいません。新譜もっとガッツリ聴かなきゃ。

<音楽>

Al Green『Let's Stay Together』(1972)

Art Blakey & The Jazz Messanger『Mosaic』(1961)

Art Blakey Quintet『A Night At Birdland, Vol.1』(1954)

Behemoth『I Loved You at Your Darkest』(2018)

The Clovers『The Clovers』(1975)

Deafheaven『Ordinary Corrupt Human Love』(2018)

Ella Mai『Ella Mai』(2018)

Elvis Costello & The Imposters『Look Now』(2018)

Gottz『SOUTHPARK』(2018)

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KANDYTOWNからGottzのソロが到着。もう全員出したと思ってたけどまだいたのね。タイトル通り現在のサウスのシーンと共振するような内容で、NY感漂うKANDYTOWNとはまた違った一面が見れてなかなかよかった。

Jean Carn『Jean Carn』(1977)

Kevin Gates『Luca Brasi 3』(2018)

M.O.P.『Firing Squad』(1996)

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聴く側の首を本気で折りにきてるハードコア・ブーンバップ。ラッパーは声がいいとめちゃくちゃトクだね。

Maysa『Maysa』(1957)

NORIKIYO『Bouquet』(2017)

Octavian『SPACEMAN』(2018)

SOLEIL『SOLEIL is Alright』(2018)

Soft Machine『Third』(1970)

sooogood!『sooogood!』(2018)

Stan Getz & Joao Gilberto『Getz / Gilberto』(1964)

String Theory『String Theory』(2014)

You Me At Six『VI』(2018)

Zion.T『ZZZ』(2018)

門あさ美『Sachet』(1980)

くるり『ソングライン』(2018)

小島麻由美『セシルのブルース』(1995)

半田健人『生活』(2018)

真心ブラザーズ『INNER VOICE』(2018)

矢野顕子『JAPANESE GIRL』(1976)

『X−FACTOR EP』(2018)

<映画>

『オール・アイズ・オン・ミー』(2017)

若おかみは小学生!』(2018)

<書籍>

ジョン・ルイス、アンドリュー・アイディン作 / 押野素子訳『MARCH 1 非暴力の闘い』(2018)

ユリイカ2016年3月臨時増刊号『出版の未来 書店・取次・出版社のリアル』(2016)

今週の事々(2018/10/15~10/21)

  • 親愛なる友人へ

storywriter.tokyo

上の連載はぼくの友人が「storywriter」という媒体で週イチで更新しているエッセイなのだけれど、今週の内容がどうしても看過できないものだったのでこのブログを使って反論をさせてもらう。

君がこのブログを読んでいるかどうかは知らないし、ぼくが君の連載を読んでいることも君には知らせていないから、対等な立場で反論ができると思って直接面と向かってではなくこの場を借りて反論することとする。ぼくは一度、今週の内容と近いことをツイートした君に対してリプライという形でも反論をしている。ツイッターにはツイッターで。エッセイにはブログで。君が直接ぼくと話をしたいなら、今度行くキャンプのときにでも話しかけてくれ。

さて、今週の連載では『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』という漫画について取り上げているけど、僕はこの漫画を読んだことはない。でも僕が反論したいのはこのメインの部分ではないのでご勘弁願いたい。

ぼくが反論したいのは以下の部分である。本題との結びつきも希薄で、わざわざ急に脱線してまで、君はこう書いている。

皆各々の好き勝手な物の見方があって、それに基づいて好きに行動したり言葉を発せられるのですが、それによって少数派の意見も重視されており、気を遣わないといけない幅も広がり過ぎて、結果好き勝手できない時代なんじゃないかなと思います。その点に於いて、本当に、ほんとうに窮屈な時代だと思います。

人を傷つけないというのは至極真っ当な当たり前に遵守されるべき概念だけど、傷つきやすいというか何かにつけて敏感過ぎる人も多いというのも事実だと思います。皆が等しく生きにくいっていうのも滑稽な世界だなあ……。

 「本当に、ほんとうに」と繰り返し強調していることから、君が今の社会に対して抱いている「窮屈さ」がかなり大きいことはわかる。「好き勝手」という言葉も二回使っている。君はどうやら「皆各々が好き勝手できる社会こそが平等で、いまはそうではない」ということが言いたいらしい。

ということは、昨今の(こういう言い方は好きではないけれど)マイノリティの台頭以前はそうではなかったということだろうか。マイノリティの声が大きくなってきたことで、各々が好き勝手できていた社会が窮屈なものになってしまったと?

本当にそうだろうか?少なくともぼくはそうは全く思わない。その昔の「好き勝手」というのは、マイノリティではない人たちがマイノリティを慮らないことによって成立していたと僕は思う。いわば既得権益だ。自分たちがたまたま多数派だったために、抑圧や迫害がない世界に生きていたというだけで、その「好き勝手」の裏では抑圧や迫害が行われていた。「皆各々が」好き勝手出来ていたわけではないんだよ。自由を阻害されていた人たちは、一定数いた。

そんな状態がいつまでも続くわけがなく、抑圧や迫害を受けてきたマイノリティが自分たちにも好き勝手をする権利はあるのだと声をあげ続け、やっとそれが社会全体に共有され始めてきたのが現状だとぼくは思う。それが既得権益を妨げることがあったとしても、それは妨げられてしかるべきだ。だってそれは誰かの不当な我慢や無理強いの上に成り立っていたのだから。だからこの状況で君が窮屈さを感じたってそれに対して不平不満を言う理屈はない、とぼくは思う。君なんかよりもよっぽど窮屈さを感じて生きてきた、あるいは生きているひとたちはたくさんいる。そういう人の意見は無視していいっていうの?

「皆が等しく生きづらい」世界を君は「滑稽」だと断じているけど、「ある集団が生きやすく、そうじゃない集団は生きづらい」世界と比べた時どちらが良い?もちろん、ぼくは今の世界が「生きづらい」とさえ思わないのだけれど。

「少数派の意見も重視されており、気を遣わなければいけない幅も広がりすぎて」、だと?だからめんどくさいのか?生きづらいのか?気を遣わずに好き勝手やって人が傷つくところを見るのと、気を遣った上で好き勝手やるのと。ぼくには前者のほうがよっぽど生きづらいとおもうのだが、どうだろうか。

君がかなり真剣にこう思っていることはわかっているので、決して馬鹿にはしたくない。友達なわけだし、むやみやたらに傷つけたくてこれを書いているわけではない。ただ、君のような考え方は時たま(君の意図にかかわらず)容易に人を傷つけうるということは言っておきたい。

最後に。君は本題であるこの漫画の面白さについて、「どういう理論で言動が発生しているのか理解できない、常識で理解できるラインを超えてくるものに価値がある」と述べているけれど、そういうタイプの面白いものは君のように考える人とはなかなか相容れないものだと思うんだけど、どうだろう。多くの人が物事を捉えている方法や枠組みをぶっ壊して面白いものを作るには(そしてそれを面白いと思うには)、多くの人とは共有できないものの見方や考え方が必要になるのではないか。君が「生きづらい」と感じるような世界でこそ、このような創作や才能は活性化するのではないか?君が面白いと思うもの、その背景にあるものにもっと目を向けてもらえれば、ぼくが言っていることをよりわかってもらえると思っています。ある考え方を持つことは何も悪いことじゃないけれど、なぜ自分がそう思うのか、その根拠やそれに対して考えうる批判まで熟慮してからそれを表明してほしいものです(こういうメディアを使うならなおさら)。

正直今の段階だと、君の考え方の裏にあるものが何も見えてこない。だからぼくもこうして感情が先行しているような批判しか書けないです。

いち大学生である「君」だけに責任を押し付けるわけにもいかないので、この連載を掲載した「storywriter」という媒体自体にも抗議の意をここで軽く表明しておきます。

「ストリートを愛するカルチャー・マガジン」と謳っているこのメディア、正直彼の連載以外はあまり読んだことはないのだけれどこの機会にざっと他の連載にも目を向けてみると、このようなLGBTに関する記事も見られる。

storywriter.tokyo

書いているのは『なぜアーティストは生きづらいのか~個性的すぎる才能の活かし方』の共著者でもある手島将彦さん。このようにマイノリティと呼ばれる人たちに寄り添う記事を載せておきながら、彼の連載の内容は問題ないと判断して掲載したのだろうか。いちメディアとして、筆者・読者双方に対して一貫性に欠ける不誠実な態度に映る。

個人的に知っている人が書いたということで多少大袈裟な反応になってしまったかもしれない。こういう「文句」が君の言う「生きづらさ」の一因なのでしょうね。でもこれは一つの反論だし、ぼくの意見にも偏りがあるところがあるかもしれない(ないようにこころがけてはいるけれど)。そしてこんな個人的な憤りによる私信をこんな公共の場に載せるかどうかもはばかられたけど、それくらい今回の件にはびっくりしているので。

では、お目汚し失礼候。来月みんなで行くキャンプ、楽しみだね。

 

P.S.

この件とは全く別件で同じ大学の先輩が「差別」についてありがたいご意見をおっしゃっていた。

 これにはもはや怒りを通り越して笑ってしまった。「差別化=differentiation, to be different」と「差別=discrimination, segregation」の区別もついていないし、彼の言う「反差別主義者」は「不当な差別」と戦っているのに「正当な差別もある」とか謎な理論を持ち出して「差別=discrimination」を養護している。噴飯ものだ。しかし、外国語を学ぶ大学を卒業しながらよくこんなことを書けるなあ。さようなら。一生ハードロックばっかり聴いててくださいね。

↓最後に今週触れた作品のリスト↓

<音楽>

Bikini Kill『The Singles』(1998)

Billy Paul『360 Degrees of Billy Paul』(1972)

Bird Bear Hare and Fish『Moon Boots』(2018)

Brian WilsonBrian Wilson』(1988)

Cam'ron『Come Home With Me』(2002)

DJ Muggs『Soul Assassin: Dia Del Asesinato』(2018)

Eric Church『Desperate Man』(2018)

Gerry Mulligan Quartet『The Best of the Gerry Mulligan Quartet with Chet Baker』(1991)

Grace Jones『Nightclubbing』(1981)

Jackson 5『ABC』(1970)

John Lennon『Imagine』(1971)

JPEGMAFIA『Veteran』(2018)

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オルタナティヴ・ヒップホップ(?)の極地。もはやテクノ。彼はなんでも米軍として日本に駐在していたこともあるとか。この「Real Nega」はOl' Dirty Bastardの「Goin' Down」のイントロ部分のスキットのような部分をサンプルしているんだけど、とにかくぶっ飛んだ使い方をしている。トラックのプロデュースも自分でやっているということで、天才くさい。

Leo Parker『Let Me Tell You 'Bout It』(1961)

MICROPHONE PAGER『DON'T TURN OFF THE LIGHT』(1995)

MØ『Forever Neverland』(2018)

MOLT『MOLT』(2018)

MSC『新宿 STREET LIFE』(2006)

Nile Rodgers & Chic『It's About Time』(2018)

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実に25年ぶりというこのアルバムは、昨今のディスコ・ミュージックあるいはニュー・ジャック・スウィングのリバイバルとも共振し、すごく今っぽい作品になっているというのが面白い。

Ohmme『Parts』(2018)

Pinoko『Hotel』(2018)

Premiata Forneria Marconi『L'isola di Niente』(1974)

Sage Francis『Personal Journals』(2002)

Sheck Wes『MUDBOY』(2018)

skillkills『THE BEST』(2018)

Solomons Garden『How Did We Get Here?』(2018)

Stan GetzStan Getz Plays』(1955)

T.I.『DIME TRAP』(2018)

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トラップ・ミュージックの祖を自認し、最近では地元アトランタで「トラップ博物館」なる展示さえ行なっているラッパー、T.I.の最新作。Meek Millをフィーチャリングしたこの曲はトランペットを使用したサンプルがとにかく高揚感をもたらしてくれるラテン調のチューン。ベテランらしい安定感ながらも普通にいいアルバム。

Tash Sultana『Flow State』(2018)

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オーストラリア出身、弱冠23歳という女性のデビュー・アルバム。この曲のようにアーバンな曲もあれば、モロにジミヘンといった趣でヘヴィーなギターサウンドが鳴り響いたり、とにかく多才。

tofubeats『RUN』(2018)

Tower of Power『Back To Oakland』(1971)

Usher & Zaytoven『”A"』(2018)

Yoko Ono『Warzone』(2018)

忌野清志郎『RAZOR SHARP』(1987)

塩山の残党『塩山の残党』(2018)

鬼『DOPE FILE』(2018)

奇妙礼太郎『More Music』(2018)

桑原あい ザ・プロジェクト『To The End Of This World』(2018)

冨田ラボ『M-P-C "Mentally, Physically, Computer"』(2018)

ブレッド&バター『IMAGES』(1973)

堀込泰行『What A Wonderful World』(2018)

松任谷由実『VOYAGER』(1983)

三上寛『ひらく夢などあるじゃなし』(1972)

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実は高校の先輩です。この曲では鶴常書店やカルネドール、主婦の店などぼくにも馴染みのある固有名詞が出てきて親近感が。しかも彼は警察学校に通っていたというが、現在の警察学校は僕が今通っている大学のすぐ隣。現在の位置に警察学校ができたのは2001年だから別に近くに住んでいたわけではないのだろうけど、なんだか数奇な運命を感じるものです。

ムーンライダーズ『最後の晩餐 CHRIST, WHO'S GONNA DIE FIRST?』

ものんくる『RELOADING CITY』(2018)

<映画>

『響 -HIBIKI-』(2018)

リップヴァンウィンクルの花嫁』(2016)

<書籍>

田中勝則中村とうよう 音楽評論家の時代』(2017)

今週の事々(2018/10/08~14)

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ラッパーたちはロック・ミュージシャンと同じような人たちじゃなくて、基本的にお笑い芸人みたいなものだと思ったほうが、彼らの魅力がわかりやすいと思います。お笑い芸人って平気で女性蔑視的なことを言ったり、俺はこんなに稼いだんだという話をしてるけど、それはそれで頭がいい奴らだっていうことですから。(中略)ただそれが自己表現というんじゃなくて、どちらかというとその場を盛り上げるとか、ウケたいという気持ちが先にある。長谷川町蔵・大和田俊之『文化系のためのヒップホップ入門 2』、アルテスパブリッシング、2018)

奇しくも今週、両者を代表する存在の「奇行」によって両者の共通点が浮き彫りになってしまった。ため息が出るばかりである。

この場合、この二人を束ねている行動原理は上で引用した長谷川町蔵氏の発言から少し先に進んだところにある。そのような空気によって出来上がっているその場の「ルール」「空気」の逆を常に突いていくという「逆張り」の精神に則ってこの二人は行動しているのだ。「だってみんなと違ったほうがおもろいやん?」ということだ。

あとふたりとも現政権の指導者とご飯を食べている。

アメリカではカニエに対して色んな人がかなりの熱量で怒りを表現しているのに対し、日本での松本人志バッシングがそこまでの注目を集めていないのはこの国の「お笑い信仰」の強固さの表れである。カニエについてはもはや「あいつの言うことをまともにとらえちゃだめだ」というスタンスが多いのに対し、松本人志の発言については「言い方はひどいが、一定の真理がある」なんて調子。

そこまで信仰を強固にしたという点については間違いなく当時ダウンタウンというお笑い芸人が持っていた才能という部分が大きいと思うし、そこに異を挟み込む余地はないのだけれど、その後何十年もその地位に「権威」として居座っている状況は不健全としか言いようがない。こんな考えの持ち主がテレビというエンターテイメント空間を支配していて、その空気感というのがAbemaやAmazonなどのネット空間にも侵食してきているのだからもうやってらんない。

更にタチが悪いのがそういう空気感はテレビを通して我々の日常生活にも多大な影響を与えているということだ。だから普段の飲み会などでも我々はこういった「弱い者いじめ」「セクハラ」「パワハラ」というルールに則った「おもしろ」によって迫害されるのだ。個人的に今週行った飲み会がそういう雰囲気をまとっていて非常に嫌な思いをした。こういうものを拒むのが「おもしろくない」のであればぼくは面白くなくて一向に構わない。「おもしろ」を棄教する。

世の中のこういう雰囲気が一刻も早くなくなりますように。って、他力本願でもいけないんだけど。

↓最後に今週触れた作品のリスト↓

<音楽>

Booker T. & The MG's『The Very Best Of Booker T. & The MG's』(2007)

Claude Thornhill Orchestra『The Real Birth Of The Cool』(1973)

The Coasters『The Very Best Of』(2007)

Common Sense『Ressurection』(1994)

Cornelius『Ripple Waves』(2018)

CREAM『Sounds Good』(2018)

Denise LaSalle『Trapped by a Thing Called Love』(1972)

Ed Motta『Criterion Of The Senses』(2018)

Kero Kero Bonito『Time 'n' Place』(2018)

Kevin Abstract『American Boyfriend: A Suburban Love Story』(2016)

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BROCKHAMPTONの中心人物の一人であるKevin Abstractのソロ作。2016年発表。「ボーイフレンドは親に合わせてくれない、僕の肌の色を怖がるかもって」。ゲイであること、黒人であることの苦悩が、アート・ロック寄りのサウンドに乗せて歌われる。この曲の中で「Well, we all love Young Thug」という歌詞があって気になったのだが、Young Thugってジェンダーレスなファッションで知られるのね。不勉強で知らなかった。めちゃくちゃクールだ。

Kurt Vile『Bottle It In』(2018)

Javier Santiago『Phoenix』(2018)

LUCKY TAPES『dressing』(2018)

Lupe Fiasco『DROGAS WAVE』(2018)

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24曲98分という大作ながら、これといったテーマがあるわけでもなく(本人はツイッターで説明を試みていたが、どうもしっくりこない)、聴き流す感じのアルバムになってしまっているが、曲は全部それなりに格好いいというなんだか不思議なアルバム。リリックもわかりやすくコンシャスで、特に2013年に6ヶ月で銃撃で亡くなったJonylah Watkinsという女の子についての曲「Jonylah Forever」では「もし彼女が生きていたら」というストーリーで非常に感動的であると同時に怒りを禁じ得ない。

mabanua『Blurred』(2018)

Macy GrayRuby』(2018)

N.S.P.『N.S.P. III ひとやすみ』(1974)

The O'my's『Tomorrow』(2018)

Quavo『QUAVO HUNCHO』(2018)

Reason『There You Have It』(2018)

Robert Wyatt『Rock Bottom』(1974)

THE STAR CLUB『PUNK!PUNK!PUNK!』(1985)

quickly, quickly『Over Skies - EP』(2018)

Twenty One Pilots『Trench』(2018)

Ugly Duckling『Journey to Anywhere』(2001)

WILYWNKA『SACULA』(2018)

YOUNG FREEZ『YOU.』(2018)

アンドレ & J Gryphin『WATER - EP』(2018)

スチャダラパー『WILD FANCY ALLIANCE』(1993)

世田谷ピンポンズ『喫茶品品』(2018)

チェン・ビー『歩いても歩いても』(2018)

森山直太朗『822』(2018)

6LACK『East Atlanta Love Letter』(2018)

<映画>

君の名前で僕を呼んで』(2017)

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間違いなく今年ベストのエンドロール。完璧すぎる。

東京物語』(1953)

<書籍>

中村とうよう『大衆音楽の真実』(1986)

大衆音楽の真実

大衆音楽の真実

 

 この本が出版された1985年当時、「毒にも薬にもならないような凡庸な音楽を定期的に与えられることに慣らされてしまった無感動な大衆(ほんとうの意味でのアノミー)に向けて、全然ハミダさない偽ポピュラー音楽が音楽産業内の生産システィムによって作られ、垂れ流されるような状況が、生まれて来ている」と彼は書いている。

今でも大勢は変化していないが、インターネットという新しい「周縁」によっていろんな「ハミダした」音楽が続々と溢れ出てきているというのは一種のターニングポイントとなっているように思えた。大衆音楽、万歳!

今週の事々(2018/10/01~07)

乃木坂46の1期生の卒業発表がとまらない。西野七瀬に続いて今週は若月佑美、そして能條愛未の卒業が発表された。

バナナマンはぼくが『乃木坂工事中』を見始める直接のきっかけになったわけだけど、そこから本格的にこのグループを好きになっていくきっかけになったのが能條だったので、非常に寂しい。

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あまり非公式の動画は貼りたくないんだけど、この能條は何度見てもかわいい。

まあ今回卒業を発表している3人はそれぞれ卒業後も芸能界に残るということで、ありがたや。

にしても乃木坂って、本名ということもあってか能條、川後、新内など珍しい名字が多いなあ。川後という名字は日本に80人ほどしかいないらしい。

myoji-yurai.net

  • 何度目だ、「日本語ラップ vs ジャパニーズ・ヒップホップ」論争

(全て敬称略。さらに時系列の解釈も間違っているかもしれませんのでご容赦ください)

大人気ベストセラーとなった『文化系のためのヒップホップ入門』の第2弾が先週出版されたのだが、その際にK DUB SHINEが下記のようにツイート。

さらに、金曜日に行われたダースレイダー×吉田雅史×さわやかによる「フリースタイル・人称・コミュニティ」と題されたトークショー(フリースタイルバトルシーンの歴史とヒップホップコミュニティーのあり方とは、みたいな内容だったらしい。恥ずかしながら未見)に関連してこーじー氏(@kozzy_jeff)がこのようにツイートしたところ

K DUB SHINEが「だから日本語ラップになっちゃったんだろ」と反論(盟友Zeebraも「つうかそれはお前の視点な。」と反応)。ここから「日本語ラップ / ジャパニーズ・ヒップホップ」みたいなお決まりの流れが始まった模様。

「全く何回目だよ」という雰囲気もありながら、そこから2日が経過した日曜日現在も色んな人がいろんな事を言っている。誰かTogetterにまとめてほしいなあ。

ぼく個人としては、たしかに「ヒップホップ的なマインド」というものに対してかっこいいなという思いはあるものの、そのことと音楽としてのクオリティには相関性がないと思っている。さらに言うとやっぱり今一番面白いのはこれまでの「ヒップホップ・コミュニティ」とは完全に断絶された場所から生まれてくる音楽たちで、「べき論」だけでは硬直化してしまうと思う。

ただし、MCバトルシーン(とそのブームによる影響)に限って言うと確かにK DUB SHINEがいうようにヒップホップの上っ面だけ頂いたようなフェイクが増えているのも事実。

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でもそういった手合はやっぱりそのうちシーンの自浄作用によってきれいに洗い流されていくと思うし、あまり気にしないほうがいいかもしれない。でもだからこそ声を上げ続けることには意味があるんだけど。もちろん、プレイヤーたちは作品でお願いします。

↓最後に今週触れた作品のリスト↓

<音楽>

Analogfish『Still Life』(2018)

Barry Harris『At The Jazz Workshop』(1960)

Battles『Mirrored』(2007)

Black Moon『Enta Da Stage』(1993)

BROCKHAMPTON『iridescence』(2018)

Bud Powell『The Amazing Bud Powell, Vol. 1』(1951)

Cypress Hill『Elephants on Acid』(2018)

FEBB『So Sophisticated Ver2.0』(2018)

Innumerable Forms『Punishment In Flesh』(2018)

Intelligent Hoodlum『Intelligent Hoodlum』(1990)

The Isley Brothers『Brother, Brother, Brother』(1972)

Joey Purp『Quarterthing』(2018)

John Raymond & Real Feels『Joy Ride』(2016)

Lenny Kravitz『Raise Vibration』(2018)

Lil Wayne『Tha Carter V』(2018)

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リリースが常に延期され続けていたアルバムがついにリリース。Geniusの「For The Record」内でIvy Rivera氏が語っていた、「このアルバムはLil Wayneがいかに以降のシーンに影響を与えてきたのかということの証明。Wayneが他のラッパー達みたいに聞こえるんじゃなくて、他のラッパーたちがWayneみたいなことをしているんだ」というコメントがこのアルバムを端的に言い表していると思う。ここ10年位のラップのサウス化というのは『文化系のためのヒップホップ入門』シリーズでも語られていたことだけど、まさにそういうこと。正直1時間以上、20曲以上というボリュームはしんどいけど、「Best Rapper Alive」と堂々と名乗るだけのスキルはまだまだある。

Logic『YSVI』(2018)

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今年の3月にリリースしたミックステープ『Bobby Tarantino 2』ではトラップ系のビートを中心だったのが、このアルバムではブーン・バップサウンドに回帰。「どっちのビートでもヤバイぜ」的なことをリリックで言っていたけど、まさにそのとおり。ラップのスキルは間違いない。ただ歌詞の内容が「いかに自分が優れたラッパーか」「いかに自分が成り上がったか」というものばかりで、深みはあまり感じられないのが残念。

でも聴き流す分にはラップのスキルも相まっていいアルバム。特にWu-Tang Clanの全メンバー(故・Ol’ Dirty Bastardを除く)が参加した「Wu-Tang Forever」、ブーンバップよりもさらにさかのぼってヒップホップ黎明期のパーティー・チューンの雰囲気をリバイバルさせた「100 Miles and Running」の2曲が白眉。

それにしても、ラップのスキルの高さ・メッセージの薄さ・それでいてポリティカルな面への目配せが(過剰なほどに)あるという点ですごくSKY-HIが重なって見える。

Low『Double Negative』(2018)

Miles Davis『Birth of the Cool』(1957)

Mystikal『Let's Get Ready』(2000)

Neu!Neu!』(1972)

Okada Takuro『The Beach EP』(2018)

Phum Viphurit『Manchild』(2017)

RHYMESTER『EGOTOPIA』(1995)

Sly & The Family Stone『Stand!』(1969)

Tempalay『なんて素晴らしき世界』(2018)

THEE MICHELLE GUN ELEPHANT『cult grass stars』(1996)

A Tribe Called Quest『The Low End Theory』(1991)

英心 & the meditationalies『過疎地の出来事』(2018)

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秋田の僧侶(!)率いるレゲエ・バンドの2枚目。とにかく東北方言を活かした「Oi Bamba!」が素晴らしいということに尽きる。中南米で生まれた音楽が日本の「過疎地」で花開いているという現実に興奮を禁じ得ない。日本人が聴いても最初は日本語に聞こえないこと間違いなし。しかも歌われていることは「あいつは田んぼに行ったんだろう」ということだけというのも最高。これぞ大衆音楽。他の曲は標準語で歌われているので安心してください。

きのこ帝国『タイム・ラプス』(2018)

きゃりーぱみゅぱみゅ『じゃぱみゅ』(2018)

食品まつり a.k.a. foodman『ARU OTOKO NO DENSETSU』(2018)

ソウル・フラワー・ユニオンWINDS FAIRGROUND』(1999)

高橋真梨子『トライアード』(1984)

『幻の”モカンボ・セッション” '57』(1954)

<映画>

デス・プルーフ in グラインドハウス』(2007)

<書籍>

日本SF作家クラブ編『日本SF短編50 III 日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー』(2013)

 このところ1月に1冊くらいのペースでゆっくり読み進めているシリーズの第3弾。特に面白かったのが森岡浩之「夢の樹が接げたなら」(1992)。人工言語を巡る1篇なのだが、サピア=ウォーフの仮説(我々の現実世界の認知方法は言語によって規定されているとする説。今となってはいささか古い)を理解するのには手っ取り早い読み物だと思った。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『メッセージ』(2016)もそうだったけど、やはり言語学系SFではこういう使い方が王道なのかも。他には中井紀夫「見果てぬ風」、草上仁「ゆっくりと南へ」、谷甲州「星殺し」の3篇がいずれも途方もない長さの時間を取り扱った短編で、そのトラベル感がたまらなかった。

ジョーダン・ファーガソン(吉田雅史・訳)『J・ディラと《ドーナツ》のビート革命』(2018)

J・ディラと《ドーナツ》のビート革命

J・ディラと《ドーナツ》のビート革命

 

 J・ディラバイオグラフィーとしても読めるし、クラブミュージックの中のデトロイトの位置を紐解くのにも良いテキストだし、ヒップホップにおけるビートメイクの大まかな歴史を知るのにもよいし、もちろん『Donuts』の批評としてもめちゃくちゃ面白い。