なんでもかんでもはむり

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<Pitchfork Sunday Review和訳>Talk Talk: Spirit of Eden

pitchfork.com

ポスト・ロックの基礎を築いた素晴らしきパイオニアサウンド

『Spirit of Eden』に収録されたすべての音の音色、振幅、振動数、音の長さが大衆音楽についての偉大で悲しみに満ちた物語を紡ぐ。新たなジャンルを産み落とした、芸術と商業の戦争についての物語だ。その視界の広さは恐るべき程の広さだ―音を鳴らさないことは音を鳴らすのと等しく、静は動と等しく、どちらも重要だ。真っ黒なコード進行は謎へと変容し、歌詞が残していくのは残像だけだ。最初の2分間の空虚さのおかげで、君は完全な暗闇の中でレコーディングされたこのアルバムの薄明かりに目を慣らすことができるだろう。そしてその後、この作品は光を放ち始める。

これらの6曲に隠された思考や工夫が明らかにされたことはないし、やりすぎやその逆ということもない。ある瞬間(例えばミュートされたトランペット)はその他の瞬間(ブルースハーモニカのフィードバック)と並んで常にあるべき場所に完璧に配置され、作曲と歌唱を担当するMark Hollisと共作者 / プロデューサーであるTim Friese-Greeneのヴィジョンやスピリチュアルな”お布施”として何時間ものテープが丹念に編み込まれている。深遠なる音の白書であり、鬱屈した湿度をもっている。ロックミュージックがこれほどまでにシンプルな苦しみや耐え難い感情で出来上がることはめったにない。この『Spirit of Eden』は音楽の原初、つまり音のありのままの美しさであると言いうほかにない。

Talk Talkのレコードレーベルが同じように感じてくれていたらどれほど良かっただろう。Talk Talkが1988年の春に『Spirit of Eden』を持ち込んだ際、この作品がポップミュージックの金字塔となり、ジャズとミニマリズムが結びつくきっかけとなり、さらにはそこからポスト・ロックが生まれると、あの巨大なEMI社が知っていたら?伝説によると、EMIのA&Rはこの作品を最初に聞いて涙を流したという。この作品の溢れんばかりの美しさにではなく、単に売れないと思ったからだ。かなりの成功を収めていた英国のバンドがその音楽性を完全に裏返し、この囁きのような作品を持ってきたのだ。以前のシンセ・ポップサウンドは遠く向こうにかすかに聞こえるだけ。その瞬間にTalk Talkの6年間に渡る”商業的に生き残っていくバンド”としてのキャリアは水に浮かぶ土左衛門となったのだ。

妙な話だ。というのも、HollisとFriese-Greeneは『Spirit of Eden』は軽く400万枚は売れると確信していたからだ。気が狂いそうになりながらも11ヶ月のレコーディングを終えた時点で、彼らはこの作品ではやりたいことがすべて実現できたし、3枚目の『The Colour of Spring』(1986)―秋のように繊細で、難しい印象派のようなシンセ・ポップ・アルバムだった―のようにプラチナムになると思い込んでいた。「Living in Another World」「Life's What You Make It」という2枚のシングルがチャートインするなど、『Colour〜』はTalk Talkの躍進の足がかりとなり、200万枚を売った。最初の2枚(1982年の『The Party's Over』、1984年の『It's My Life』)は電子ドラムやギターの音が重々しく、彼らをレーベルに貼られた”ニュー・ロマンテック”のレッテルを剥がせずにいたが、この3枚目では彼らはアンビエントな触感を用いた実験的な作品を世に送り出した。

名声、プロモーション活動、愛想よくすること:シンセ・ポップ期のあいだも音楽業界の罠はHollisを絆すことができなかった。彼は声も体もやせ細った大学中退者であり、元パンクスであり、芸術の顆粒状の形而上的側面にとりつかれた男であった。彼はインタビューでMiles DavisとGill Evansによるジャズの傑作『Sketches of Spain』、John Cageの禅の試み、ヴィットリオ・デ・シーカの前衛映画『自転車泥棒』をインスピレーションとして挙げた。彼はコックニー訛りの仏教徒のように話し、文は教祖用のアルゴリズムで生成されたようなものだった(「2つの音を下手に演奏するよりも1つの音を上手に演奏するほうがよいという信念をもっている」)。痛烈ながら物腰の柔らかい喋り口。Spandau Balletのメンバーと喧嘩になったこともあった。Hollisが自分も含めその場の全員を「人間のくず」呼ばわりしたからだ。

『Colour〜』を引っさげての過酷なツアーによってHollisはその烙印を押された。1986年9月13日、当時31才の彼はスペインでの公演を終えた彼は二度とライブで演奏しないと宣言した。『The Colour of Spiring』の複雑な曲をステージ上で機能させること、週6回の公演、世俗から孤立していくありきたりなツアーの日々に彼は耐えられなかった。加えて、彼(と他のメンバーたち)は父親になった。もういい大人になったことを告げる静かな鐘が鳴り響いていた。彼はサフォーク州の田舎へと逃亡し、家族と牧歌的風景、大きな厩舎に囲まれる生活をはじめた。

極限の疲労、田園生活の美しさ、そして休むことのない創造性。これらのエネルギーを携えて1987年5月、Talk Talkは『Spirit of Eden』の制作のため再びスタジオに入った。初期のヒット曲があったおかげで、EMIはTalk Talkに対して4度目の奇跡を期待し、制作に際してバンドに全権を委任した。バンドが向ったのはウェセックス・スタジオだった。コントロールルームの卓上灯以外は真っ暗な蛹のような空間で、音と連動したストロボライトがLee Harrisのドラムセットを取り囲み、1960年代のオイルランププロジェクターがバンドの作業部屋の天井を照らしていた。週5日、昼11時から真夜中が作業時間。部屋には香り高い手巻きのタバコの煙が充満した。すぐに全員が時間の感覚を失っていった。

グループは3ヶ月もの間、そのサイケデリックなヤサでレコーディングを行った。Hollis、Friese-Greene、Harris、そしてベーシストのPaul Webbは『Spirit of Eden』のチルな枠組みを作り上げた―小さな呼吸からけたたましい遠吠えのような音まで一瞬で到達するような、リズムの膨大な数のレイヤーを用いて。「Desire」は大海のように穏やかで多幸感にあふれている。ゆっくりとリラックスするようなムードが17分間続く―そしていきなりカウベルが鳴り響き、Hollisはまるでそれまでに作り上げたムードをぶち壊すようなブルージーなコーラスを歌い始める。「こんなの俺らしくないだろ、ベイビー」。

アルバムの骨格が出来上がると、バンドはアルバムに付け加えるサウンドやアイデアを求めて多くのミュージシャンを招き、オーディションを行った。ハーモニカ奏者やバイオリニストを長いときでは3時間半も演奏させ録音するのだが、使われるのはせいぜいそのうち1、2秒といったところだ。決まった予算や時間の制約もなく、小さな音の断片を切り貼りして曲の中に配置していくというこれらの曲を織っていく作業は、純粋な発見と実験のような行為だった。こんな調子が数ヶ月続いた:次はオーボエ奏者、次はトランペット、といったように。巨匠・Karlheinz StockhausenのアシスタントであったHugh Daviesに至っては、shozygsというテルミンに似た自作楽器を持ち込んだ。エンジニアだったPhil Brownはこう語る。「アルバムは7人が一つの部屋で生演奏をしているように聞こえるが、個々の音はそこに”配置”されているんだ。このアルバムはイリュージョンなのさ」

HollisとFriese-Greeneは「I Believe in You」のために25人もの合唱隊を招いた。冷たいタッチのエレキギターの音が印象的な一曲だが、Hollisはこの曲を自身の兄であり、元パンクロッカーのEd Hollisについて、そして自分の薬物中毒の苦しみについて書いた。「ヘロインならたくさん見てきた」Hollisは言葉を抱きしめるようにコーラスを歌う。これ以上低い声で歌ったら溺れてしまうのではないかと思うようなテナーボイスで歌う彼の声は無気力で完備であり、Talk Talk及び『Spirit of Eden』のサウンドを決定づけている。「I Believe in You」において彼が「spirit」という言葉をかすかなボリュームで口にした時、彼はこの曲の共振周波数を決定づけている。結局この曲に25人の合唱隊の歌は使用されなかった。誰が聞いてもこのコーラスは素晴らしく、スタジオで働いていたお茶くみの女性すら涙を流したほどだった。翌朝、プレイバックを聴いたHollisはエンジニアにこのコーラスを完全に消すように言った。後にふくよかなソプラノ男性6人のChelmsford大聖堂の聖歌隊の歌に差し替えられた。

このアルバムの全体図を描くこと、個々の音の由来を探すことは狂気の沙汰であろう。あなたは思うだろう:スコアがあって、指揮者が見るような分厚いカンペがあって、オリガン奏者に入りを指示しているのだと。しかしこのモザイク壁画のような作品はTalk Talkが持つダイナミクスがなければただの窓ガラスであり、これはSpiritualizedRadiohead、Explosions in the Skyなどのバンドが後に効果的に使うようになるものの基礎なのだ。「Eden」は縮んだり伸びたりしながらマクロとミクロを行き来する。フロアタムとフェルトを用い曲を盛り上げ、内側の巨大な空間を削り取る。その中でHollisが聖書のように訴える。「全能であることへの怒り」。彼の声はか細いが、その言葉自体は山の側面に刻み込んでもいいくらいだ。

丹念に作曲された曲であるにもかかわらず、これらの曲は互いの衝動に呼応するジャズ・コンボバンドのようなスウィング感、フィールが存在する。これが『Spirit of Eden』が様式をハイブリッドしたパイオニアだと言われる所以である。ここまで細部に気を配っていながらもこれほどに自由でカタルシスがあるのはなぜだろう?なぜこれほどまでの苦労・工夫をこらしたものが心と魂が放浪するゆったりした空間を創出できるのだろう?これは商業から開放された音楽であり、彼らの究極の結論に対するクリエイティブなアイデアが見たものである。この音楽を聞くことに寄って得られる興奮は、ジャズやクラシック、ポップの傑作を聴くのと同じ興奮である:Miles Davis『In a Silent Way』の魂、Morton Feldmanの描く愚鈍な風景、Brian Enoの創作と忍耐。これらが詰まった精神とサウンドは、今日においても尖っていて謎めいたポピュラー音楽であるように感ぜられるのだ。

そう思っていたのはスタジオを出たHollisとFriese-Greeneも一緒であった。なにか新しいことをやった、やっと長い間やりたかった音楽にたどり着くことがっできたという興奮。もちろん、400万枚売れるだろう。プレイバックルームでレーベルは頭を抱えた。売れるシングルをレコーディングしにスタジオに戻るなんてことはしないだろうし、絶対にこのアルバムでツアーなんかしない、こんなバンドをどうしたら良いのかわからなかったのだ。Friese-Greeneは回想する。「Markの家の近所の近くのパブで、シングルが王様じゃない世界に戻って、型を破壊し、歴史の流れを変えられるなんて考えていたよな、なんて話し合ったのを覚えている。なんて悲しい間違いを犯したものか」。

有効なマーケティングのプランがないまま、『Spirit of Eden』はぬるっとリリースされた。以前のサウンドが好きだったファンは蜘蛛の子を散らすようにいなくなった。共通していたのはWebbのアンビエントでダブな、骨太なベースラインだけだった。歌えないし、踊れない。当時のチャートにあったものとは全く別物だった。評判もよくなければ本人たちが公認したかどうかも怪しい「I Beliebe in You」の3分のリ・カットバージョンがシングルに使われたが、チャートには箸にも棒にもかからなかった。結局売り上げたのは50万枚ほどであり、メジャーレーベルのプラチナセラーバンドとしては惨憺たる結果に終わった。

バンドとEMIの軋轢は訴訟にまで発展し両者は袂を分かったが、Talk TalkはPolydorとの契約を保持し、それは最後のアルバムとなる『Laughing Stock』という形となった。そのアルバムは『Spirit of Eden』のポスト・ロック的美学を保ちつつ、よりアコースティックで開かれた雰囲気を持った作品となり、より明快に装飾された素晴らしいものであった。それはまた再び、商業的に成功しない大傑作を完成させるための厳しく長いスタジオでの作業であった。音楽業界や他のメンバーに愛想を尽かした彼らは、その後解散した。

「音が好き。そして静寂も好き。ある意味では、音よりも静寂のほうが好きなんだ」これまたHollisの名言であるが、これほど彼に似合う感情もないだろう。トランペットのミュートがゆっくりと外されるように、Talk Talkの最後の作品達は徐々に当時のポップ・ミュージックからずれていった。その牧草地にはまだまだ耕されていない土地があって、それはギター、ドラム、ベースだけで耕せる土地だった。『Spirit of Eden』はロックやポップが長い間排除してきていた宗教的感情が入り込む余地を与えた。アルバムを聴けば興奮で最初から最後まで息が止まってしまうだろう。バンドがバラバラになってしまう前の最後の力を振り絞るなか、Hollisは幕引きの賛美歌の中で歌う。「Take my freedom」と。

筆者:Jeremy D. Larson

点数:10/10

今週の事々(2019/01/07~14)

↓今週触れた作品のリスト↓

<音楽>

A Boogie wit da Hoodie『Hoodie SZN』(2018)

Albert Ayler『Spiritual Unity』(1965)

Ambrose Akinmusire『Origami Harvest』(2018)

Barney Artist『Home Is Where the Art Is』(2018)

BES & ISSUGI『VIRIDIAN SHOOT -Remix & Instrumentals-』(2018)

BLACK BASS『LFP - EP』(2019)

Bobby Sessions『RVLTN (Chapter 2): The Art of Resistance』(2018)

Buzzcocks『Singles Going Steady』(1979)

iga.hatenablog.com

Carolina Katún『Teol Al Silencio』(2018)

Carlos Núñez『Os Amores Libres』(1999)

Chara『Baby Bump』(2018)

Confidence Man『Confident Music for Confident People』(2018)

Crosswind『そして夢の国へ』(1981)

Dave Holland『Conference of the Birds』(1973)

DOGMA x LORD 8ERZ『DEAD LINE - EP』(2018)

Eric Chenaux『Slowly Paradise』(2018)

Fabrizio De André『Crêuza de mä』(1984)

Foo FightersFoo Fighters』(1995)

GANG PARADE『LAST GANG PARADE』(2019)

He Was Eaten By Owls『Inchoate With the Light Go I』(2018)

Helsinki Lambda Club『Tourist』(2018)

High On Fire『Electric Messiah』(2018)

Imperial Triumphant『Vile Luxury』(2018)

IZ*ONE『COLOR*IZ』(2018)

Lamont Dozier『Love and Beauty』(1974)

Lil Durk『Only the Family Involved Vol.2』(2018)

The Mamas & The Papas『If You Can Believe Your Eyes and Ears』(1966)

MC Lyte『Lyte as a Rock』(1988)

Miles Davis QuintetRelaxin' With the Miles Davis Quintet』(1958)

Miles Davis Quintet『Cookin' With the Miles Davis Quintet』(1957)

Normcore Boyz『Cityman's Gift』(2018)

Notology aka Arμ-2『A H O』(2018)

www.youtube.com

KID FRESINOやISSUGIとの共作で知られるビートメイカーのソロ作。よれたグルーヴ感でチルな空間が生まれる。「ボーカルプロジェクト」という表記が散見されるけど、言うほど彼のボーカルはフィーチャーされてなくて、あくまでトラックの一部といった感じ。

OZROSAURUS『Rollin' 045』(2001)

PELICAN FANCLUB『Boys just want to be culture』(2018)

Pineapple Express『Uplift - EP』(2018)

RYKEY『MZEE』(2018)

SANTAWORLDVIEW『WORLDVIEW』(2018)

Smino『blkswn』(2017)

SPIN MASTER A-1 & Shing02『246911』(2019)

Sticky Fingaz『 [Blacktrash] The Autobiography of Kirk Jones』(2001)

t-Ace『エロ神伝説』(2018)

Thomas P『street / device / alcohol - EP』(2018)

Towkio『WWW.』(2018)

Trippie Redd『A Love Letter to You 3』(2018)

War『The World Is a Ghetto』(1972)

天地真理『水色の恋 / 涙から明日へ』(1971)

小沢健二『LIFE』(1994)

カーネーション『EDO RIVER』(1994)

曽我部恵一『There is no place like Tokyo today!』(2018)

まさに「There is no artist like Sokabe today!」である。ラップアルバム「ヘブン」を出したと思ったらすぐさまこの作品。前作のヒップ・ホップ的なアプローチを彼の本領であるインディー・ポップに取り入れた結果、めちゃくちゃ今っぽい作品になってる。1曲目のタイトル曲のオートチューンの使い方、空間をいっぱいに使ったスペーシーなトラック、開放感と閉塞感を行き来する大胆な展開、完璧。

底なしのバケツのようにざらざら『actslum』(2018)

矢野顕子『ごはんができたよ』(1980)

<Pitchfork Sunday Review和訳>Buzzcocks: Singles Going Steady

pitchfork.com

このPitchforkのSunday Reviewは、毎週過去の名盤と言われている作品が選ばれレビューが書かれるというもの。毎週なんとなく読んではいたのですが、Pitchforkの英語って難しくて読むのを途中で諦めたり、わからないままなんとなくザーッと読んでしまうので、今回こうやって精読・和訳することにしました。拙い訳ですがどうぞ。できれば毎週やりたいです。

愛の痛みと喜びを歌にするお手本のようなパンクの古典

Buzzcocksの故・Pete ShellyはかつてNMEに対してこう語った。「曲を作る前には、その曲が時を越えて愛されるものにするようにしているんだ。」1978年という時期を鑑みるに、それは馬鹿げた台詞であった。その前年にSex Pistolsのデビュー作『Never Mind the Bollocks』が発表されパンクは世界的な認識を獲得したとはいえ、その革命の衝撃はすぐさま飼いならされたセルフパロディになりさがり、すでに時代遅れであり失敗したと誰もが思っていた。パンクが出現したやいなや、数多のバンドがパンクのロックンロール的パンチ力からさらに幅広いポスト・パンクサウンドへとなびきはじめていった。元祖パンクムーブメントはまるで破片のみを残して爆発する爆弾のように、儚いものであることに喜びを感じているように見えた。

しかしBuzzcocksは古典的なパンクサウンドからは先んじていた。1978年だけで彼らは『Another Music in a Different Kitchen』『Love Bites』という最初の2枚のスタジオアルバムをリリースした。それらには実験的な刻印がついていたが、それはCanのような息の長いクラウトロックよりもパンクの大黒柱・Ramonesから得たものが大きい。1979年になると、Joy DivisionやThe FallといったBuzzcocksの直接の影響下にいるバンドたちが重要なポスト・パンクの名盤たちを発表し始めていた。The ClashThe JamなどのBuzzcocksと同年代に当たるパンクの始祖たちもそのムーブメントの鋭利さを失うことなくパンクのボキャブラリーを広げていった。Buzzcocksはこのような高遠なるポスト・パンクの声明に対抗した。しかし作品でではなく、謙虚なシングルコレクションという形で。

バンドの最初の8枚のシングルで開幕するこの『Singles Going Steady』は、米国では1979年にリリースされたが、彼らが解散の危機にあったため母国・英国では1981年までリリースされなかった。どちらの国でもチャートインすることはなかったが、この2年のギャップは何かを物語っているようでもある。<パンクの70年代>から<ポスト・パンクの80年代>になり、Buzzcocksの音楽のもつ耐久力が明らかとなった。特に当時は、コンピレーションアルバムというのはそのバンドが持つ(寿命までとは言わないが)重要性の終わりを告げる不思議な能力を持っていた。たった2年のキャリアを経てBuzzcocksがシングル集を出したという事実は、この『Singles Going Steady』を―その陽気な言葉遊びとは裏腹に―勝利宣言というよりは墓石のようなものにしてしまった。おひねりが投げ込まれるような、終わりの予感をさせるような音がした。Shellyは時代を超越した音楽を作りたかったのだろうが、その夢は考えうる中でも最悪の方法で達成されつつあった。

しかし歴史はShellyの作る音楽それ自体には頼らなかった。最初からBuzzcocksはありふれたパンクバンドになるという欲は持ち合わせていなかった。彼らはデビューEP『Spiral Scratch』(同じくパンクからポスト・パンクへの造反者であるHoward Devotoをリードシンガーとする唯一のアルバムである)の冷笑的な呻りから1977年のファーストシングル「Orgasm Addict」へと、すばやくそして大胆な転換を遂げたのだ。曲はShellyとDevotoの共作であるが、Shellyが新しいフロントマンとして歌う。この違いは衝撃だった。Devotoが『Spiral Scratch』で聞かせた冷笑は作り込まれていて誰かのものまねであるように感ぜられたが、そのかわりに「Orgasm Addict」ではShellyの楽しげなしゃっくりのような声が、あどけなく清々しい新しいパンクの音を誇らしげに聞かせてくれる。

Buzzcocksは当時「パンク主義(=punkismo)」と呼ばれていたものに対する解毒剤のようなものだった。4人は新しく、より柔軟なパンク的男性性を目指した。Shellyは自慰行為のとりつかれるような楽しみを褒め称えさえした。事実、Buzzcocksがすぐにそれほど新鮮に感じられたのはShellyがシコることを讃えた思春期の賛美歌を歌っていたからなのである。同じようなわざとらしく悪ぶったパンクだと思ったら、実はそれが弱さを完全に許す歌だったのだから。この曲が伝えるメッセージは言葉にしにくいが決して否定できない。「孤独は時に開放的な性的ネルギーの原動力になる」。Buzzcocksは『Spiral Scratch』を自主制作しパンクのインディペンデント性のパイオニアとなったが、「Orgasm Addict」で歌われているのはまた違う種類の「自主制作」である。

ShellyはPeter McNeishという名で1955年、ランカシャーらしく紡績工場と炭鉱で働く労働階級の両親の息子として生まれた。オタクで自信家の早熟のブルーカラー青年らしく、彼はステージネームをお気に入りのロマン派の詩人、Percy Bysshe Shellyからとることにした。破壊的な70年代英国パンクシーンにおいて、ロマン派は(というよりあらゆる文学は)決してヒップな引用元ではなかった。しかし当時のパンクスはStrummerやRotten、Palmoliveのようにみな直感的・風刺的な芸名を使っていたから、Shellyはそれを教科書の中から見つけ出したのである。その名は彼の柔らかく、確かに鼓動している心臓を後に象徴することとなる。

『Singles Going Steady』を飾るのはパンクの押しの強さとディストーションによって切羽詰まったラブソングたちである。Shellyとメンバーたちは当時まだ僅かな者たちしかやっていないことに気がついていた。AOR的なラブソングが70年代を通してどんどん陳腐になっていく中で、パンクで愛を伝えようと思ったら新しい生々しさ、信憑性が必要だということに。”romance”に欠かせないのは”Ramones”というわけで、彼らの音楽がニューヨーク勢から影響を受けていることは決して偶然ではない。しかしBuzzcocksRamonesが持っていたバイカー的なイメージや通俗的で平凡であることに対する型にはまった恐怖感、心細さに対する日常的な心配といったものを一切取っ払った。「汚らしくはならない。僕たちはただの4人のいい奴らで、君たちの親に会わせる事ができる種類の人間だよ」とShellyは1978年、Melody Maker誌で語っている。『Singles Going Steady』は70年代の馬鹿げたラブソング支配をぐらつかせようという目標でパンクを武装化したわけではない。Ramones的であると同時にWings的であり、Joy Divisionの「Love Will Tear Us Apart」と同じくらいCaptain & Tennilleの「Love Will Keep Us Together」にも共感しているのである。

引力と反発力、献身と裏切り、愛と憎悪の表裏一体、他者と自分といった真逆の方向にはたらく力学―Buzzcocksはラブソングの肝となるその緊張を描くことに長けていた。『Single Going Steady』はラブソング / パンクロックの両領域において、愛らしく、親密で、完璧に作られたearworm(=歌の一部が頭の中で反復して離れない現象のこと)の一級品である。爽快でありながら下品で手に負えない「Orgasm Addict」に続くのは、見せかけではない人間関係を切実に願う「What Do I Get?」である。この曲に比べたら、「Anarchy in the UK」ですら「Hotel California」ほど大仰で過剰に聞こえる。

「皆と同じように恋人がほしいだけなんだ / 何を手に入れる? / ただずっとそばに居てくれる友だちが欲しいだけなんだ / 何を手に入れる?」蝶で満たされた胃袋のように震えるギターの上に、はちみつを垂らすような彼の声は嘆く。「I Don't Mind」「Love You More」「Promises」でもそれは続き、彼の苦悶の宇宙は広がっていく。報われなかった想い、断ち切られた縁、もじもじとした羞恥心、幸せに陶酔する向こう見ずな宣言…Shellyはこれらをすべて、楽しげな旋律そしてThe BeatlesThe Kinksにも匹敵するほどの(実は)よく練られたコード進行を使って聴き手に運んでくる。「Harmony in My Head」ではギタリストでありShellyの作曲パートナーでもあるSteve Diggleがこの作品では唯一であるリードボーカルを務め、Shellyの聖歌隊のような声とは対をなすしわがれながらも温かい歌声を提供している。

これら8曲のシングルのB面曲を集めたアルバム後半はさらに多様である。笑ってしまうくらいほろ苦い「Oh Shit!」からパンクらしいパンクの讃歌「Noise Annoys」まで、『Singles〜』はこのバンドの戯れを記録している。「Just Lust」や「Lipstick」などのラブソングでさえ、音だけ聞くとかなり軽いタッチである―後者では歌詞が彼のロマンスに対するより哲学的な思考を反映しており、暗い影が見られるのだが。「君が僕を想う時 / 君の夢の中で僕の恋人は君の顔をしているのだろうか?」総じて、A面の曲と比べても遜色のない出来である。Shellyはパンクをポップに対する反乱だとは思わなかったのだ。それはただ単により効率的な伝達手段なのだ。

ラブソングはShellyのポスト・パンクにおけるブランドだった。それはどこから見てもPiLの不協和音を用いたダブやGang of Fourの耳障りなファンクと同等にラディカルだった。彼はMelody Maker誌に対して「みんなは『パンクは愛について歌ったりしないだろ』なんて言う。僕はそんな事言わないよ。だってなんでそれを我慢しなきゃならないんだい?」と語っている。でもそれはBuzzcocksが『Singles〜』においてわかりやすいポスト・パンクをやってみるということを嫌ったということではない。”Why Can't I Touch It?”はDiggleとShellyのリフ合戦へと発展していく6分半のポスト・パンクへの憧憬のような曲であり、そのパンク・ジャムセッションはかのTelevisionのTom VerlaineとRichard Lloydのデュアル・ギターの魔術にも匹敵するものである。

Buzzcocksの遺産であるこの『Singels Going Steady』のピークは、英国でヒットしたシングル「Ever Fallen in Love (With Someone You Shouldn’t’ve?)」である。ミュージカル『ガイズ&ドールズ(野郎どもと女たち)』のマーロン・ブランドの台詞を言い換えたこのひょうきんなタイトルは、この曲の持つパワーには似つかわしくない。ギターの音は沸騰するように激しく、ビートは歯を食いしばるようにがっちりとタイト。まるで体全体が一つの怒った神経でできているかのようにShellyは歌う。「何の所為なのかわかるまでは / 未来のことなんかよく見えない / なんてこった」彼は希望をかなぐり捨てて歌い、恋人役は無関心の風に吹かれてどこかへ行ってしまう。彼は自分の心のかさぶたを無慈悲なほどにほじくっていて、彼のソングライターとしての脆弱性は苦しんでいる。それがひねくれた強さの根源であるとしても。

1978年、彼の「繊細な少年」というペルソナへのバックラッシュに対して彼はこう答えている。「僕は何も隠していないのに、みんなはそれを冗談だと捉えるよね。反省するべきなのは僕じゃない」。「Ever Fallen in Love」はそのペルソナの極地である。この曲はパンクが赤裸々な感情の豊かな表現たり得るということだけではなく、Buzzcocksが昔のポップスの優れた作曲法を大事にしているという特異性の象徴である。彼はBeatles(「Let It Be」のアートワークは『Singles Going Steady』で意図的に引用されている)などからそういったものを引き出しただけではなく、(彼自身も認めていることだが)The SupremesやDusty Springfieldのような音楽を妬んでいたのである。

そのDiana RossやSpringfieldの両方がLGBTQコミュニティのアイコンであることは偶然ではない。Shellyは英パンクにおいて、バイセクシャルであることを公表していた最初のスターであった。「Love You More」は彼が1975年に付き合っていた女性についての歌であり、『Ever Fallen in Love』は彼が70年代後半にともに暮らしていた男性(The Tiller Boysというサイドプロジェクトでともに演奏している)についての歌である。彼の性的指向が明確であることは、逆説的に歌詞を漠然としたものにしている。代名詞や視点を巧みに用い、Buzzcocksの曲は主人公やその相手のジェンダーがほぼ決定できないようになっている。「曲を作る際はできるだけジェンダーの点で中立的であるように心がけている。ぼくは同じ曲でも両方の性別に対して使うことができるからね」と彼は説明する。彼はRay DaviesやLou ReedDavid Bowieなどの先人たちがいささかファンタジックなやり方で探索してきた流動的なセクシャリティアイデンティティというものを大切にしていた。しかし彼は現実に優しさと重苦しさを持って立ち向かう痛々しい告白の歌をもってそれを試みたのだ。

詩人・Percy Bysshe Shellyは1820年発表の詩「ひばりに歌う」において「ぼくらのもっとも美しい歌というのは、もっとも深い悲しみを伝えるものだ」と書いた。妻とともにイタリアの田舎町を放浪していた彼は鳥を見かけある洞察を得る。痛みと喜びとは分けることができないもので、どちらかだけでは存在できないのではないか。これは普遍的なアイデアであり、Pete Shellyはこの中に自らが追い求めた永遠の命を見つけたのである。The SmithsGreen DayRadioheadからFucked Upに至るまでのポップ・パンクやインディー・ロックバンド達はBuzzcocksがいなかったら全く違う音楽をやっていただろう。痛みと喜びに満ちたこの『Singles Going Steady』は、その痛切な悲しい叫びによって我々の鼓動を早め、肋骨を震わせる。それはひばりの鳴き声のようにもっとも美しく、そしてもっとも悲しいパンクである。

筆者:Jason Heller

点数:9.4/10

今週の事々(2018/12/31〜2019/01/06)

あけましておめでとうございます。

↓今週触れた作品のリスト↓

<音楽>

A Tribe Called Quest『Beats, Rhymes and Life』(1996)

Ace The Chosen onE『Black Jam』(2018)

ARKHAM『PROPAGANDA』(2018)

Ben E. King『Don't Play That Song!』(1962)

CHICO CARLITO『volver ep』(2018)

cupcaKKe『Eden』(2018)

INO hidefumi『SONG ALBUM』(2018)

James Brown『Sex Machine』(1970)

Jay-Z『American Gangster』(2007)

Method Man『The Meth Lab II: The Lithium』(2018)

Night Tempo『Moonrise』(2018)

NORIKIYO『O.S.D. 〜Old School Discipline〜』(2019)

RAU DEF『Delicacy』(2018)

Supastition『Honest Living EP』(2014)

Thelonious Monk『Brilliant Corners』(1957)

Thelonious Monk『Solo Monk』(1965)

Yunhway & Lil Cherry『Yunhway Vs Lil Cherry』(2018)

幾何学模様『Masana Temples』(2018)

長谷川白紙『草木萌動 - EP』(2018)

夢眠ねむ『夢眠時代』(2018)

<書籍>

日本SF作家クラブ・編『日本SF短篇50 IV』(2013)

 

今週の事々(2018/12/24〜30)

  • テレビキモすぎ

年末年始だけど、相変わらずテレビキモいね。「水曜日のダウンタウン」のモンスターハウス、「月曜から夜ふかし」の貧困者嘲笑、ビートたけしホモフォビア、マジでキモいね。今年はBlackface Hamadaから始まって「相棒」のシャブ山シャブ子があったり松本人志がキモいこと言ったり、「ちょうどいいブスのススメ」があったり、「出ていってもらいます」があったり、本当にただただ気持ち悪かった。

こういうクソみたいなコンテンツを、みんなお偉いさんにヘコヘコしながら必死こいて作ってんだからすごいよね。かっこいいぞ!!!

日本人が日常生活でホモフォビアや女性蔑視、古臭くてダサい価値観を平気で振りかざすのってまじでテレビがキモいからだと思う。テレビばっかり見てる人と話したくね〜、だってイケてないんだもん。

Netflixのこの番組、いまんとこ2話まで見たけどサイコーです。

www.netflix.com

↓今週触れた作品のリスト↓

<音楽>

The Allman Brothers Band『At Fillmore East』(1971)

Bessie Smith『The Essential Bessie Smith』(1997)

DALLJUB STEP CLUB『SANMAIME』(2018)

YouTubeでドラムのGOTOがジュークをたたいている動画を見て以来、バンクーバーでライブを見たりとにかくお気に入りのバンドの文字通り三枚目。相変わらずリズム面での冒険とそれを裏打ちするテクニックがすごくて、圧巻って感じです。唯一無二の存在なのに、なぜか知名度がぐんぐん上がっていかないのが歯がゆい。

The Doobie Brothers『Minute By Minute』(1978)

Flipper's Guitar『Camera Talk』(1990)

Hprizm『Magnetic Memory』(2018)

Ice Cube『Everythangs Corrupt』(2018)

KEPHA『T K Y O I T E : I I』(2018)

King Krule『The OOZ』(2017)

Kirk Franklin & The Family『Christmas』(1995)

Kirk Knight『IIWII』(2018)

L'Andre - estra『Arriba de Georgia』(2018)

Muse『Simulation Theory』(2018)

Pi'erre Bourne『Pi'erre & Cardo's Wild Adventure』(2018)

朝起きたら配信されていたプロデューサー・ラッパーのミックステープ。これが今年リリースされたPlayboi Cartiのアルバムに勝るとも劣らないできで最高。ゆっくりまったりしながら聞けるヒップホップ作品です。

RAITAMEN『「EZ」EP』(2018)

RM『mono.』(2018)

SAKA-SAMA『It's A SAKA-SAMA World』(2018)

St. Vincent『MassEducation』(2018)

STEPHENSMITH『ESSAY』(2018)

uMaNg『The Black Rose Certificate』(2014)

Xzibit『Restless』(2000)

ZAYN『Icarus Falls』(2018)

石黒ケイ『女は女』(1978)

韻踏合組合『ジャンガル』(2003)

狐火『35才のリアル』(2018)

空中泥棒『Crumbling』(2018)

崎山蒼志『いつかみた国』(2018)

寺尾聰『Reflections』(1981)

挟間美帆『ダンサー・イン・ノーホエア』(2018)

畠山美由紀『Wayfarer』(2018)

早見沙織『JUNCTION』(2018)

18scott x SUNNOVA『4GIVE4GET』(2018)

<映画>

『アリー/スター誕生』(2018)

世間では『ボヘミアン・ラプソディー』並みに持ち上げられて絶賛されているけど、個人的には全く楽しめなかった。登場人物たちの音楽に対する外部からの視点が足りていないという問題は『ボヘミアン~』と共通しているんだけど、ノンフィクション的な色合いが強い『ボヘミアン~』と比べて、完全フィクションであるこの作品がそれをやっていないのは致命的。そのおかげでヒロインがスターダムにのし上がる前の葛藤的なものは全然理解できないし、主人公であるブラッドリー・クーパーなんて最初から最後まで目立った変化を遂げないので何が何やら、って感じ。レディー・ガガの女優としてのポテンシャルや楽曲の良さがあったとしても看過できないほどそのほかの部分の出来が悪いと思う。今年ワースト。

『キックス』(2016)

<書籍>

北野日奈子写真集 空気の色』(2018)

ジョン・ルイス、アンドリュー・アイディン作 / 押野素子訳『MARCH 2 ワシントン大行進』(2018)

ジョン・ルイス、アンドリュー・アイディン作 / 押野素子訳『MARCH 3 セルマ 勝利をわれらに』(2018)

今週の事々(2018/12/17~23)

  • サブスク解禁していない海外アーティスト

星野源の最新作『POP VIRUS』が発売された。今回の新作のタイミングでサブスク解禁を期待していた人が結構見受けられた(実際ぼくもそう思っていた)けど、結局現時点では解禁はなし。加えてThe Weekendに米津玄師、Mark Ronsonに星野源という取り合わせの来日公演(この組み合わせも十分謎であるが)も重なり、いまドメスティックな市場で1,2を争う人気を誇る現役アーティストがサブスクを解禁していないことの謎が一層浮き彫りになった。

そこで海外の大物アーティストでサブスクを解禁してない人たちをざっと調べて見たら、こんな感じだった。

Aaliyah
De La Soul(最新作はあるが、みんな大好き『3 Feet High And Rising』など代表作はなし)
Garth Brooks
King Crimson
Tool ほか

うーん、なんとも現役感のないラインナップ(しかもあまり良くないけれどだいたいYouTubeで聞ける)。逆にこれら以外のいわゆる「大物」はだいたいサブスクで聴ける。素晴らしい時代。

現役世代で言うとJay-Zの一部カタログがなかったりするけど、なんてったって彼はTIDALという自前のサブスクサービスを持ってたりするわけで 。やっぱりモノとして売れているアーティストがサブスクで聞けないのってなんだかなあ、と。サザンとかね。

結局今年出た宇多田ヒカルのアルバムもサブスクに来てないからまだ聞いてないし、星野源もしばらくは聴くことはなさそう。残念だけど。

  • 年間ベスト100(20+80)を出しました

iga.hatenablog.com

ただリストで列挙しただけなのだけれど、今年の100枚を選びました。

このリストでは音楽作品しか取り上げてないけれど、新作映画だと『レディ・プレイヤー1』『スリー・ビルボード』『勝手にふるえてろ』『寝ても覚めても』『万引き家族』『フロリダ・プロジェクト』、今年読んだ本だと川野将一『ラジオブロス』、磯部涼『ルポ川崎』、トール・ノーレットランダーシュ『ユーザーイリュージョン 意識という幻想』、藤田祥平『手を伸ばせ、そしてコマンドを入力しろ』なんかがよかったです。

来年もいい作品と巡り会えるようだといいですね。

↓今週触れた作品のリスト↓

<音楽>

Art Pepper『Modern Art』(1957)

Avril Lavigne『Let Go』(2002)

AAAMYYY『ETCETRA - EP』(2018)

BOØWY『JUST A HERO』(1986)

Bud Shank『The Bud Shank Quartet』(1956)

Coccoブーゲンビリア』(1997)

Commodores『Commodores』(1977)

Curren$y, Freddie Gibbs & The Alchemist『Fetti』(2018)

The Dells『There Is』(1968)

Earl Sweatshirt『Some Rap Songs』(2018) 

Fairport Convention『Unhalfbricking』(1969)

Fla$hBackS『FL$8KS』(2013)

Gateballers『「The All」=「Poem」』(2018)

GOBLIN LAND『NEO CHINPIRA』(2018)

www.youtube.com

細かいことを言うと、本当はp,m,bの前の「ん」の音はmで表すから『NEO CHIMPIRA』が正解なんだけど、そんなの知らねえと言わんばかりのタイトルの勢いがそのまま内容まで入り込んできている。YDIZZYやJin Doggなど、パンク的なアティテュードを持ったラッパーが増えてきた中で、このGOBLIN LANDは間違いなく台風の目。凄まじい。ただのヤンキー。そしてトラックも面白すぎる。

haruru犬love dog天使『lost lost dust dream』(2018)

Holger Czukay『Movies』(1979)

Homecomings『WHALE LIVING』(2018)

ICE BAHN『LEGACY』(2018)

itoldyouiwouldeatyou『Oh Dearism』(2018)

Jeremiah Jae『Raw Money Raps』(2012)

Khalid『Suncity』(2018)

Kodak Black『Dying To Live』(2018)

Little Stevie Wonder『Recorded Live: The 12 Years Old Genius』(1963)

MC松島『geranium』(2018)

Meek Mill『Championships』(2018)

Merry Delo『The Future - EP』(2018)

MOCKY『A Day At United』(2018)

Nao『Saturn』(2018)

Non Phixion『The Future Is Now』(2002)

Paul Desmond『First Place Again』(1959)

Pink Matter『Human Error - EP』(2018)

www.youtube.com

Apple Musicのラジオ(あれのアルゴリズムってどうなってるんだろう)の中の「ジャズ・グルーヴ」チャンネルで偶然出会った、オーストラリア出身の女性4人組。上記の「Giant」のイントロで引っかかりました。リリースは今年の8月と結構前。エレピがずっと鳴っている音像は確かにジャズっぽかったりするんだけど、やってることはかなりロック。展開の無理やりな持っていきかたとかリズムの交差のさせ方でグイグイ引き込むタイプ。でもドラムのヨレ方とかが絶妙にまた今のジャズっぽかったり。めちゃくちゃ気に入ってます。

Reddy & Year of the Ox『eightyfivesoul - EP』(2018)

Rosalía『El Mal Querer』(2018)

Rubel『Casas』(2018)

Ryohu『Ten Twenty』(2018)

Slapp HappySlapp Happy or Slapp Happy』(1980)

The Stylistics『The Stylistics』(1971)

SWAY『UNCHAINED』(2018)

TYOGhOST『Ø「YUUGEN」』(2018)

Van Der Graaf Generator『Pawn Hearts』(1971)

Vince Staples『FM!』(2018)

XXXTENTACION『SKINS』(2018)

Y to the ONE『ONE MIND』(2018)

Yellow Days『Is Everything Okay In Your World?』(2017)

Yellow Magic Orchestra『Solid State Survivor』(1979)

吉澤嘉代子『女優姉妹』(2018)

1010 Benja SL『Two Houses - EP』(2018)

21 Savage『i am > i was』(2018)

www.youtube.com

2018年米国ヒップホップ、滑り込みでリリースしてきた21 Savage。ゲストも豪華で、それがちゃんと作品としての充実度につながってる。冒頭「A Lot」でJ. Coleが

Pray for Tekashi / They want him to rot / I picture him inside a cell on a cot / Reflecting on how he made it to the top / Wondering if it was worth it or not

(テカシに祈る / 奴らは彼を腐らせたがる / 古びた監房にいる彼を想像する / どうやってのし上がったのかを思い出し / それが必要だったのかを思い悩む彼を)

とラップしていて、もうさすがとしか言いようがない。

<映画>

『来る』(2018)

グリンチ』(2018)

<書籍>

栗原康✕白石嘉治『文明の恐怖に直面したら読む本』(2018)

2018年ベスト20+80

まだまだ聴ききれてない作品も多いのだけれど、ここで一度締め切ってベストを出しておこうと思います。なにせこの3連休暇なので。

ベスト20とそれに続くベスト80なのですが、それぞれのリスト内は特に順位はつけてません。リスト内はアルファベット→かな→数字の順ってだけです。

いくらなんでもヒップホップが多すぎるので、来年はもっと幅広く聴けたら良いと思ってます。

<ベスト20>

Buddy『Harlan & Alondra』
Burna Boy『Outside』
Car Seat Headrest『Twin Fantasy』
Denzel Curry『TA13OO』
Earl Sweatshirt『Some Rap Songs』
JID『DiCaprio 2』
JPEGMAFIA『Veteran』
Minchanbaby『都会にまつわるエトセトラ - EP』
OLD DAYS TAILOR『OLD DAYS TAILOR』
Pusha T『DAYTONA』
ROTH BART BARON『HEX』
Superorganism『Superorganism』
The 1975『A BRIEF INQUIRY INTO ONLINE RELATIONSHIPS』
Travis Scott『ASTROWORLD』
U_Know [Olive Oil x Miles Word]『BELL』
Yves Tumor『Safe In The Hands Of Love』
釈迦坊主『HEISEI』
仙人掌『BOY MEETS WORLD』
中村佳穂『AINOU』
三浦大知『球体』

<ベスト80>

A$AP Rocky『Testing』
Aaron Choulai x Daichi Yamamoto『Window』
ACE COOL『present progressive - EP』
Anomalie『Métropole Part II』
Apollo Brown & Locksmith『No Question』
ASIEN『Take Off - EP』
August Greene『August Greene』
BAD HOP『BAD HOP HOUSE』
BAD HOP『BADHOP ALLDAY Vol.2』
Bobby Sessions『RVLTN(Chapter 1): The Divided States of AmeriKKKa』
Brandon Coleman『Resistance』
BROCKHAMPTON『iridescence』
butaji『告白』
Cracks Brothers『03』
CRAM『The Lord』
EVISBEATS『ムスヒ』
Fantastic Negrito『Please Don't Be Dead』
Flatbush Zombies『Vacation In Hell』
Freelance『Yes Today』
GAGLE『VANTA BLACK』
Georgia Anne Muldrow『Overload』
HONNE『Love Me / Love Me Not』
illmore『ivy』
The Internet『Hive Mind』
J. Cole『KOD』
Joey Purp『Quarterthing』
Juice WRLD『Goodbye & Good Riddance』
Kacey Musgraves『Golden Hour』
Kamasi Washington『Heaven and Earth』
Kamui『Cramfree.90』
Kanye West『Ye』
kiLLa『GENESIS
KIRINJI『愛をあるだけ、すべて』
The Lemon Twigs『Go to School』
LEON a.k.a. 獅子『BEAT TO DEATH -EP』
Lil Baby & Gunna『Drip Harder』
Logic『YSVI』
Louis Cole『Time』
Lyrical School『WORLD'S END』
Mac Miller『Swimming』
Maison book girl『yume』
The Marcus King Band『Carolina Confessions』
MC松島『geranium』
MC松島『hospes』
Metro Boomin『NOT ALL HEROES WEAR CAPES』
NAGAN SERVER『NR』
Negicco『MY COLOR』
NEI & Ryo Kobayakawa『Words For Stars』
Noname『Room 25』
Nyeusi & Justin Brown『Nyeusi』
Playboi Carti『Die Lit』
Post Malone『beerbongs & bentleys』
R+R=NOW『Collagically Speaking』
Rosalía『El Mal Querer』
SANABAGUN.OCTAVE
SKY-HI『FREE TOKYO』
Solomons Garden『How Did We Get Here?』
Stu Mindeman『Woven Threads』
STUTS『Eutopia』
Sweet William x Jinmenusagi『la blanka』
Takeoff『The Last Rocket』
Tash Sultana『Flow State』
TENG GANG STARR『ICON』
Tohji『9.97 EP』
The Underachievers『After the Rain
Wild Nothing『INDIGO』
XXXTENTACION『?』
YDIZZY『TROCKSTAR Season 1』
V.A.『Black Panther: The Album』
青葉市子『qp』
英心 & the meditationalies『過疎地の出来事』
踊Foot Works『odd foot works』
折坂悠太『平成』
カツヲ『黒までの群青と紫』
鈴木愛理『Do me a favor』
ゆるふわギャング『Mars Ice House II』
呂布カルマ『SUPER SALT』
ヱスケー『気持ちをちぎって捨てたくなる』
21 Savage『i am > i was』
6LACK『East Atlanta Love Letter』