なんでもかんでもはむり

書きたいものだけ書く。音楽、映画、本がメイン。

今週の事々(2018/09/18~09/24)

  • りんご音楽祭

9月22日土曜日、長野県は松本市で開催されている音楽フェス『りんご音楽祭』に初めて行ってきた。今年で10回目を迎えるというこのフェスティバルは、そのラインナップの良さから毎年話題になってたので、ぜひ行ってみたいと思っていた。

来場者が年々増えているとはいえ、昨年だと7000人余というから規模はそれほど大きくはない。アルプス公園内の自然たっぷりのロケーション、9月下旬の心地よい気候も相まって、とても落ち着ける雰囲気のフェスである。この雰囲気が人気の理由だろう。何故か2日の通し券ではなく土曜日だけ行くという選択をしたのだが、来年は通しでキャンプもしようと固く誓った。

土曜日も土曜日で出演者は豪華で、ぼくが見たアクトはOvall、呂布カルマU-zhaan × 環ROY × 鎮座DOPENESS土岐麻子、Kick a Show、GAGLE一十三十一、of Montreal、GEZAN、FNCY、Awich、stillichimiya。

特に良かったのがやはりというべきかU-zhaan × 環ROY × 鎮座DOPENESS。「え、ライブ始まってんの?」「やっぱ寝起きはきついよ」などとゆる〜い雰囲気で始まったライブだけど、やっている事自体はありえないくらいハイレベルで、そのギャップも含めてぶち上がってしまった。普通のライブでは考えられないくらいのミスの連発も、彼ら二人のラッパーがリズムを体の中に取り入れる過程を垣間見れたと考えるとすごく刺激的だった。やっぱり日本で一番ラップが上手いのはこの二人なのでは、とすら思った。

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あと印象的だったのはやはりヒップホップ勢の人気。呂布カルマGAGLE、FNCY、Awich、stillichimiyaらのステージは3番目の大きさである「おやきステージ」だったのだが、昼間の呂布カルマからずっと観客席に入り切らないくらいの大勢のオーディエンスが。来年以降はどんどんこういうアクトがメインのりんごステージに立つんじゃないか。

それにしても車でのアクセスもめちゃくちゃ良かったし、飯も美味しかったし、来年はもっとお酒を楽しみつつ二日間通して楽しみたいものだ。

もちろん驚きもしたけど、それと同じくらい納得もした。そのうち4期生も入ってくる(今夏に欅坂・けやき坂との合同オーディションが開催されていた)わけで、1期生の面々はそろそろ年齢的な面も含め潮時が見えてきているところ。 これから卒業ラッシュが続くかも?

 アイドルという言葉から連想されるような、常に笑顔で元気いっぱいというイメージ(このイメージももう古いが)からは少し外れた、不思議な「儚さ」のようなものを持った存在で、それは乃木坂というグループの雰囲気とも重なる部分が多かったと思う。

初期のバラエティでは泣き虫キャラだった彼女だからこそ、満面の笑顔が輝いていたし、ほんとに少女漫画のヒロインがそのまま現実世界に飛び出してきたような女性だと思う。

芸能活動は続けるということなので、これからも応援したいと思う。ものすごく優秀な作り手と組んでシティポップとかやってくれたら応援しやすいんだけど。

乃木坂関連でバナナマン・日村の騒動についても少し。16年前ということで法的な罰則を受ける義務はないにしても、ラジオやキングオブコントなど、報道直後の生放送で何事もなかったように登場していたのには驚いた。

大人同士の不倫や、日本以外ではほぼほぼ合法な薬物を使用しただけで完全に干されるのに、未成年への淫行ではまったく制裁が下されないという日本の芸能界のあり方にびっくり。しかもハリウッドでの#MeToo問題があり、エンターテイメントの業界でも「それだけはタブー」という認識が世界中で高まっている中で、である。

個人的にものすごい大好きな芸人だからこそものすごく複雑。すくなくとも「16年前のこといちいち掘り返すなよ」という意見は間違っていると思う。猛省を促したい。

↓最後に今週触れた作品のリスト↓

<音楽>

Alton Ellis『Mr. Soul of Jamaica』(1968)

Ashford & Simpson『Is It Still Good To Ya』(1978)

Boogie Down Productions『By All Means Necessary』(1988)

Charles Wright & The Watts 103rd. Street Rhythm Band『Express Yourself』(1970)

The Coral『Move Through The Dawn』(2018)

CRCK / LCKS『Double Rift』(2018)

The Enid『Aerie Faerie Nonsense』(1977)

Fats Navarro『Nostalgia』(1958)

Freddie Gibbs『Freddie』(2018)

Hector Lavoe『De Ti Depende』(1976)

I Don't Like Mondays『A GIRL IN THE CITY - EP』(2018)

Interactivo『Que Lindo Es el Amor』(2014)

John Legend『Once Again』(2006)

Kamui『Cramfree.90』(2018)

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Twitterで本人が「あのラッパーのあのアルバムのオマージュ」と発言しているが、Kendrick Lamar『Section.80』のことなのだろう。すごいパーソナルでリリカルなリリックながらも、ある程度のスキルを持ち合わせているという点で、出てきそうで出てこなかったタイプのMC。かなりお気に入り。

Madeleine Peyroux『Anthem』(2018)

Micranots『Obelisk Movements』(2000)

Minchanbaby『たぶん絶対』(2017)

Natalie Prass『The Future and the Past』(2018)

Olu Bliss『Traveling Bliss』(2018)

Pale Waves『My Mind Makes Noises』(2018)

Rick Wakeman『The Six Wives of Henry VIII』(1973)

Rick Wakeman『Piano Portraits』(2017)

Rick Wakeman『Piano Odyssey』(2018)

Robb Bank$『Cloverfield 3』(2018)

Seuss『Love』(2018)

TWICE『BDZ』(2018)

UA『11』(1996)

佐藤千亜妃『SickSickSickSick - EP』(2018)

<映画>

寝ても覚めても』(2018)

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映画的表現の釣瓶撃ち。それでいて編集や脚本の切れ味の良さで推進力がず〜っとあるから、完全に没入してしまった。

<書籍>

斎藤貴男『日本が壊れていく―幼稚な政治、ウソまみれの国』(2018)

今週の事々(2018/09/10~09/17)

  • 齢24になりました

今週で24歳になりました。目下の心配事は1ヶ月後に迫った免許の有効期限。さっさと更新したいけどできない。こういう大事なことを平気で先延ばししてしまう性格をそろそろやめたいなあ。

24になってもまだ大学生をやっているとは思ってなかったけど、それなりに楽しい日々なので全然後悔はしていない。父ちゃん母ちゃんありがとう。

今年も数多くの音楽、映画、その他様々な文化作品に出会えたらいいなと思う。「ドライブの苦悩」でも書いたことだけれど、24にして文化的に死んでいるような周りの人達を見てなおさら背筋を正している今日このごろ。つい先日も大学の同期の女の子が、カラオケでDA PUMPの『U.S.A.』をふざけて歌っている動画に「マジ爆笑」というキャプションをつけたのをインスタグラムに投稿していて、でかい溜め息をついてしまった次第である。いい年した社会人があんなことを「生きがい」とか言っているのを見ると絶望してしまう。

(少なくとも自分の周りの)いわゆる「普通の若者」は、新しいことを知ろうなんていう努力を全くしていないように思える。そしてそれはおそらくテレビを始めとするマスメディアが新しいものを発見しようとしていないのはおろか、新しいことを知ろうとすることの価値を「オタク文化だ」「マイナーなカルチャーだ」と相対的に低く見せることによって「そんなことをする必要はないのですよ、周りに合わせて生きていればよいのです」と声高に喧伝しているからである。そんな世の中の空気がパワハラもセクハラも電通も人種差別もヘイトスピーチ杉田水脈東京五輪サマータイムも安倍政権も何もかもをなんとな〜く肯定していて、この国はなんとな〜くゆっくりと滅亡への一途をたどっていくんだろうと思う。

 こうした雰囲気にどうにかして文化を武器に戦えないものか。最近はそういうこともばかり考えている。

↓最後に今週触れた作品のリスト↓

<音楽>

Armand Hammer『Paraffin』(2018)

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ELUCIDとBilly Woodsのラッパー二人からなるデュオの2作目のアルバム。オルタナティヴでアブストラクトでアンダーグラウンドなヒップホップ。ビートがどれも良かったので、プロデューサー陣の作品もBandcampなどで掘りたいところ。

The Beatnuts『A Musical Massacre』(1999)

Betty Wright『I Love the Way You Love』(1972)

Big Red Machine『Big Red Machine』(2018)

Billy Eckstine『The Legendary Big Band』(2002)

Bob Dylan『John Wesley Harding』(1967)

Boz Scaggs『Out of the Blues』(2018)

Charlie ParkerCharlie Parker With Strings: Complete Master Takes』(1995)

Charlie Parker『Best of the Complete Savoy & Dial Studio Recordings』(2002)

Charlie Parker & Dizzy Gillespie『Town Hall, New York City, June 22, 1945』(2005)

Demon Seto『Savage demon frustration』(2018)

Dizzy Gillespie『Dizzier & Dizzier』(1954)

Donny McCaslin『Blow.』(2018)

The DoorsThe Doors』(1967)

FAITH『UN - EP』(2018)

Femi Kuti『One People One World』(2018)

Funkadelic『One Nation Under a Groove』(1978)

G Herbo & Southside『Swervo』(2018)

Gia Margaret『There's Always Glimmer』(2018)

GilgameshGilgamesh』(1975)

HIBRID ENTERTAINMENT『Hibrid or Die Vol. 1』(2018)

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Young Yujiro、Jin Dogg、DJ BULLSETを中心として設立された、大阪トラップ・シーンを代表するレーベルのオフィシャルアルバム。32曲1時間55分というボリュームで集中して聴き通すのは正直しんどいけど、勢いだけはすごく伝わってきた。

JAZEE MINOR『F**K BOY - EP』(2018)

Jesus Piece『Only Self』(2018)

Julian Lage『Modern Love』(2018)

Little Brother『The Listening』(2003)

Masta Ace『The Falling Season』(2016)

MC Breed『The New Breed』(1993)

The Moody Blues『Seventh Sojourn』(1972)

NEI & Ryo Kobayakawa『Words For Stars』(2018)

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名古屋から突如出現したラッパーのEP。C.O.S.A.やjjjがSNSで褒めていたり、KID FRESINOとのコラボ曲を発表したりで脚光を浴びている。ラップはなんだか休符を印象的に使っていてたしかにフレッシュ。また連名で出されているだけあってビートメイカーのRyo Kobayakawaによるインストも収録されているのだけれど、いい感じ。名古屋のD.R.C、注目クルー。

Noname『Room 25』(2018)

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チャンス先輩を見習ってなのか、完全自費で制作されたというセカンドアルバム。引き続きオーガニックなトラックが心地よい。彼女のリリックはどこまで行っても個人的なものの見方だったり意見の範疇を出ないんだけれど、それが逆説的にポリティカルだったりプロテスト的な意味合いを帯びているのがおもしろい。同じシカゴ勢であるSmino(出身はミズーリセントルイス)、Sabaを迎えた「Ace」が素晴らしかった。特にSabaがカマしまくっていて。

Parliament『Medicaid Fraud Dogg』(2018)

Perfume『Future Pop』(2018)

Rejoicer『Energy Dreams』(2018)

Ruben Studdard『Soulful』(2003)

Spiritualized『And Nothing Hurt』(2018)

Stetsasonic『In Full Gear』(1988)

STUTS『Eutopia』(2018)

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プログラムしたトラックをバンドで生演奏〜サンプリングという手法で制作されたらしいが、そのおかげかとにかく音がいい。これをヒップホップにくくっていいのかわからないけども、爆発的な作品がまだ生まれていない今年の日本ヒップホップシーンにおいて、これが飛び抜けた出来なのは確か。特にCampanellaと鎮座DOPENESSが参加した「Sticky Step」の泥臭いファンクネスが耳に残った。

Sudan Archives『Sink - EP』(2018)

Taylor Bennett『Be Yourself - EP』(2018)

The Temptations『The Temptations Sing Smokey』(1965)

TENG GANG STARR『ICON』(2018)

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安易にゆるふわギャングと比較するのは野暮なんだろうけど、過度にキャラクター性が際立っていてフィクショナルな存在であるゆるふわギャングに対して、この二人はあくまで現実世界に根付いたリアルな存在。ヒップホップマナーにも比較的忠実だったりするし。留置所でニーチェ吉本隆明を読んでいたというKamuiはラップのスキルもあるし、何より声がかっこいい。相方・なかむらみなみの存在感がもっと化けていけば最強になるのでは。

Ty Segall & White Fence『Joy』(2018)

Xenia Franca『Xenia』(2018)

折坂悠太『ざわめき - EP』(2018)

たま『しおしお』(1989)

963『963』(2018)

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福岡発のローカルアイドル。作曲はSUBMARINEの新城賢一という人がしているみたい。ラップ自体はそこそこ稚拙なんだけれど、シティポップ風味のトラックが妙にノスタルジックで、それを補って余りある。lyrical schoolが好きだった人はきっと気に入るはず。ラップに(たぶん)うっすらとかかっているオートチューン的な処理がミソな気がする。

<映画>

アントマン & ワスプ』(2018)

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MCU作品の中でも一、二を争うほどのコメディーっぷり。正直SFとして話の整合性が気になる部分は多々あるし、編集もめちゃくちゃ雑なんだけれど、とにかく笑えた。ポール・ラッドが脚色していることがうまく機能しているのだろうか。それにしても電子ドラムがあんなに面白い小道具だとは。そして最後、『インフィニティ・ウォー』の例のあれが起こって・・・という場面で一気に現実に引き戻された。ああ、そうだ、みんな消えてしまったのだな・・・。

検察側の罪人』(2018)

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木村拓哉×二宮和也ダブル主演」という字面からは想像できないくらい、挑戦的で噛みごたえのある映画だった。松重豊演じる「裏社会のやり手」みたいなキャラクターがキーパーソンで、映画全体のケレン味が倍増している(ちなみにぼくは最上=諏訪部同一人物説を唱えたい)。ただ終盤がちょっと・・・というのと大筋に関係ない展開を盛り付けすぎたかな?といった感じでめちゃくちゃ好きな作品ではないけれど、とにかくキャスト陣の演技・大胆な演出&編集だけでも見る価値あり。

今週の事々(2018/09/04~09/09)

  • 第14回高校生ラップ選手権

動画はすでにYouTubeにわんさか上がっているので見てみてください。

もう初期の「素人っぽさが良い」みたいな時代が思い出せないくらい、レベルが上がった(上がりきってしまった)この大会。ぼくは武道館でオールスター戦を行なった第10回が一つの頂点で、それ以降は大人の大会との差別化ができてないと思っているのだけれど、それでも毎回ちょこちょこ見ちゃう。

ここ最近のこの大会はライム重視になっていて辟易していたのだけれど、今大会はみんな大好きONO-Dを始めとして、かなり自由な雰囲気の選手が多かったのが印象的。その一方で硬派なLITOやJourneyのようなMCもいて、かなりいいメンツだったように思う(この二人による一回戦はベストバウトだった)。

でもそれよりも驚いたのが、2回戦、準決勝と進んでいくうちに殆どのラッパーが草ネタばっかりで戦っていたことだ。ONO-Dはそんな中でも「草吸うとそのことしか言わなくなるからいやだ」とスタンスを異にしていたが、決勝に駒を進めたRed Eyeをはじめとしてやたらとイリーガルな言葉を使いたがる輩が多かったのにはちょっと引いた。

ぼくと10も違わない世代だけれど、それでもマリファナに対する認識が根本的に違うのか、それともラップを始めたことでそういうワードをどんどん覚えていったのか定かではないけれど、これからの日本を背負う世代がマリファナ大好きであることは悪いことではない気がする(Amaterasが逮捕されたり、まだまだ解禁は非現実的だが。というか今のこの日本の環境であえて吸うことのリスクへの認識が甘い)。

ONO-Dが「Esskeetit」と絶叫していたことからもわかるように、明らかに今のUSラッパー(その中でもトラップやマンブル・ラップ)からの影響が見えるようなラッパーが多くなったということなのかも。昔のように純「日本語ラップ」スタイルでケツで韻踏むだけの時代が終わって、キャラ込みで目立っていく時代。でもその中で唯一キャラが薄く、言い換えれば全方位型のMC・HARDYが優勝したのは審査員(今回から呂布カルマが参加している)の好みなのか。

最後に高校生ラップ選手権に出場した「キワモノ」同士の夢の対決をどうぞ。

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↓最後に今週触れた作品のリスト↓

<音楽>

Bring Me The Horizon『Sempiternal』(2013)

BTS『LOVE YOURSELF 結'Answer'』(2018)

Curtis Mayfield『Superfly』(1973)

Danja Mowf『Word of Mowf』(1997)

Diry Projectors『Lamp Lit Prose』(2018)

Donny Hathaway『Live』(1972)

Donny McCaslin『Perpetual Motion』(2011)

Donny McCaslin『Casting for Gravity』(2012)

Donny McCaslin『Fast Future』(2015)

Donny McCaslin『Beyond Now』(2016)

Fake? x MA$A$HI『ForMula』(2018)

iri『Only One - EP』(2018)

Jay Rock『Redemption』(2018)

Lamp『彼女の時計』(2018)

Latte E Miele『Passio Secundum Mattheum』(1972)

ORANGE RANGE『ELEVEN PIECE』(2018)

Page Kennedy『Same Page, Different Story』(2018)

Phonte『No News Is Good News』(2018)

Rico Nasty『Nasty』(2018)

Roc Marciano『RR2: The Better Dose』(2018)

Soccer Mommy『Clean』(2018)

Tierra Whack『Whack World』(2018)

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15曲入りでぴったり15分。すべての曲が60秒というサイズは、インスタグラムで再生できる動画が60秒までだったということに由来しているらしい。「時代」という言葉で語りたくなるけども、なるほど上質なヒップホップ / R&Bで良かった。狙い通りリピートして聞いてしまう。

Warren G『Regulate... G Funk Era』(1994)

Wild Nothing『INDIGO』(2018)

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ドリーム・ポップというか、これはほぼもうシティ・ポップ。というか山下達郎。まさしく外れ曲一つもなし、良作。初秋のドライブのお供にしたい。

Zipsies『FINALIZE vol.3』(2018)

井上陽水『氷の世界』(1973)

ゲスの極み乙女。『好きなら問わない』(2018)

前田健太『サクラ』(2018)

町あかり & 池尻ジャンクション『収穫祭!』(2018)

<映画>

カメラを止めるな!』(2018)

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約1ヶ月間映画を一本も見ていないという、「非常事態宣言」状態だったぼく。「今週こそは・・・今週こそは・・・」と半ばゾンビのような状態でTOHOシネマズ新宿へ。やっと見れましたこの話題作。世間の熱烈なプッシュもピークを過ぎ、すこし冷静な状態で観れたことは良かったことだ、と自分に言い聞かせている。

今週の事々(2018/08/27~09/04)

  • ドライブの苦悩

ここ最近、ドライブに行く機会が2度あった。どちらも非常に楽しい旅だったということは最初に強調しておきたい。本当に楽しかったのだけれど、2回ともぼくは「車中の音楽」という問題に悩まされた。その問題というのはわかりやすく言うと「知らない曲アレルギー」のことである。

その気持ちはわからないわけでもない。車中でみんなが知っている曲を大合唱するというのは気持ちがいいことであろう。大音量で音楽を聞くということ自体普段できないことなのだから、その中で知ってる曲が流れたら楽しいだろう。ぼくもその楽しみには理解があるし、流行ってる曲全部がダメだとか、ぼくの方が音楽に詳しんだからトーシローは黙っておけだとかそういう事が言いたいんじゃない。

でも、だからといってみんなが知らないような曲を流すことが「ボケ」だと処理されて、「この曲なんやねん」と笑われてしまう風潮にはぼくは異を唱えたい。ELLEGARDENだとかTaylor Swiftだとか、懐メロだとかそういうのが流れるのはいいんだけど、その間に各々が好きな音楽を流したっていいじゃないか、と思う。3時間もあるのだから。

この「知らない曲アレルギー」の根底には、新しいものに対する興味が枯渇しているという由々しき事態があるわけで。みんなが知っているものが正義で、なにもかもをその内側で済ませてしまうというのはやっぱり不健全だとぼくは思う。「知られていない」というだけで勝手に見下して、「なにそれしらない(笑)」と興味をシャットアウトしてしまうのはあまりにももったいない(もちろん、そういうものを誰もが知っているものに結びつけて親しみやすく紹介するという試みも続けていかなければならないんだけど)。

たかが23や4で、「懐かしい」の世界に引きこもってはいけないのでは?

↓最後に今週触れた作品のリスト↓

<音楽>

Ammar 808『Maghreb United』(2018)

BrandyBrandy』(1994)

Eightball & MJG『Comin' Out Hard』(1993)

Eligh『Last House on the Block』(2018)

Eminem『Kamikaze』(2018)

昨年末に出した『Revival』の評判が良くなかったのが相当ムカついているらしく、今回のアルバムの半分くらいがその話だというのが最高に彼らしい。そのせいか全体的に殺気立った雰囲気。とくにRoyce da 5'9"との「Caterpillar」から続くマンブル・ラップ批判が冴え渡る冒頭3曲はめちゃくちゃかっこよい。しかも今回は露骨に他のラッパーに当てこするラインやフロウが多くて、昔ながらのラップゲームが好きだという向きにはうってつけだろう。デカいところでは

・Lil Pump「Gucci Gang」

・Migos「Bad and Boojie」

・Kendrick Lamar「Humble」(これに関してはほぼトラックもまんまと言っていい)

なんて曲がもじられてる(すごい並びだ)。こんなベテランがここまで喧嘩売る(Kendrickに関しては喧嘩というよりはただの自虐だけど)ってもう大人気なさすぎて素晴らしい。

でも、男女関係を描くような「普段のエミネムの曲」(具体的に言うと「Normal」「Nice Guy」「Good Guy」の3曲)だと途端に精彩を欠く。Dr. Dreが総合プロデュースということでビートは『Revival』より格段にいいし、彼のラップのスキルもどんどんすごみを増しているのに、アルバムとして提示されるとなんだかなあ。「最近の気に入らないことをラップしました」くらいの軽いノリのミックステープだったらもっと盛り上がった気がするけどなあ。

めっちゃ話題として盛り上がる曲はあるだろうけど、アルバムとしての売上とかリスナーからの評価という意味では今回もそこまで成功しなさそうだなあ、残念ながら。またそれに怒って、またラップがうまくなってやばい曲作ってくるっていうサイクルでどんどんやってほしい。

General Caine『Girls』(1982)

Gunna『Drip Season 3』(2018)

Hermit and the Recluse『Orpheus vs. The Sirens』(2018)

Iggy Azalea『Survive the Summer - EP』(2018)

ISSUGI『THE STORY OF 7INC TREE -Tree & Chambr-』(2018)

Jim James『Uniform Distortion』(2018)

The Lemon Twigs『Go to School』(2018)

Lou Reed『The Raven』(2003)

Mac Miller『Swimming』(2018)

MC松島『HIGHSCHOOL GUY』(2018)

MC松島『ONE DAY IN THE GEIMORI』(2018)

The Mekanix『Restoration』(2018)

Mitski『Be The Cowboy』(2018)

MONO NO AWARE『AHA』(2018)

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アルバムを通してアレンジや音色、言葉の選び方とかにドキッとさせられっぱなしなのに、聞き終えたあとの印象はものすごくまっとうな日本語ロックだというのがおもしろい。

Organized Konfusion『Stress: The Extinction Agenda』(1994)

Pouya『Five Five』(2018)

Refugeecamp『Raise The Flag』(2015)

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来月に2枚目が出る札幌のクルーの1枚目。レベル・ミュージックとしてのヒップホップのかっこよさが感じられる「Riot」のような曲もあれば、やきそば弁当(北海道のカップ焼きそば)を食べるだけの「Y.K.B.N.(Repeat After Me)」というくだらない曲まで。新しいアルバムも楽しみ。

T-Connection『T-Connection』(1978)

Taiko Super Kicks『Fragment』(2018)

Tanda『MF DOOM x TATSURO YAMASHITA』(2018)

青山テルマ『HIGHSCHOOL GAL』(2018)

韻シスト『IN-FINITY』(2018)

シルバースターズ『銀星団』(1979)

トロデイ『レモンドEP』(2018)

はちみつロケット『花火と漫画とチョコと雨』(2018)

浜崎あゆみ『TROUBLE - EP』(2018)

松田優作『Uターン』(1978)

山下達郎『FOR YOU』(1982)

揺らぎ『Still Dreaming, Still Deafening』(2018)

 

今週の事々(2018/08/20~26)

毎年恒例のMTV Video Music Awardsが今年も開催。受賞作はともかく、今年も会場でのパフォーマンスが最高だった。理想の紅白歌合戦がここに・・・

Nicki Minaj 

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Travis Scott

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つい最近新譜を出した二人。でも結構結果は対照的で、Travis Scottがビルボード首位なのに対し、Nicki Minajは2位。これに関してNickiがライブのチケットとの抱き合わせで売り上げを伸ばしたTravisや(Nicki曰く)宣伝を十分にしなかったSpotifyを批判したり結構泥沼状態。しかもNickiはFutureとの全米ツアーが中止になったり(一部ではチケットの売り上げが不調だったとの報道も)、なんだかパッとしない・・・。

Post Malone & Aerosmith

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新旧「Rockstar」の共演。全然よくわかんないけど、本人同士が楽しそうだから、まあいいか。でもスティーブン・タイラーって今ヒップホップ嫌いなんじゃなかったっけ?

Logic

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去年は「1-800-273-8255」で感動的なパフォーマンスをしてくれたLogicが今年も素晴らしいパフォーマンスを。

  • 新曲・新ビデオ

星野源「アイデア

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タイトル通りアイデア勝負の一曲。一つの曲の中に少しでも多くの音楽のエッセンスを入れ込もうとする気概が感じられる。この人の作品をきちんと聴いたことがない(なにせサブスクにない。それだけで聞くことを諦めているリスナーは彼ほどの認知度・評価を考えるとものすごい数いると思う)ぶん、いかんせんどういう評価をしたらいいのかわからない。でも、こういう音楽的指向を持った人間が(MVで振付を担当しているらしい三浦大知にも言えることだけど)マスな人気を持っていることは喜ばしいこと。

ぼくのりりっくのぼうよみ「輪廻転生」

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こちらも展開がめまぐるしい一曲。だた、4部構成になっている分聴きやすいし構成の美みたいなものが星野源のものよりもあるような気がして、こっちの方が断然好み。「輪廻転生」「犯した罪は消えない」「いとも容易く奪い取った」などと物々しい歌詞が続くと思ったら、最後「終わりが / 数多の言葉を奪った報いが / 可視化された 賛美歌の果て / 無自覚な暴力でした」と締めくくられ、MVの最後には一瞬刑法の56条、9条、11条(いずれも死刑に関して定めた条項)の条文が。このタイミングでこういうメッセージをすぐ楽曲にして表現できるとは、さすがSKY-HI一派と言うべきか。いい。こうやってどんどんバカな日本人を突き放していけばいい。ポップミュージックに幸あれ。

Bobby Sessions「Black Neighborhood ft. Killer Mike」

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Tシャツに「Legalize Being Black」の文字。銃弾を複数うけ倒れる黒人。これが現状なのかとショックを受けてしまう。Twitter上で人種差別に関する話を見ない日はない(もちろんここ日本においてでも、である)。ああ世界。

ZIPSIES「La Li La ft. Jinmenusagi

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めちゃくちゃかっこいいMV。正直何でこんな豪華なMVが撮れるのか不思議(失礼)。裏声を使うところがあったりと、相変わらずフレッシュな表現を探し続けているJinmenusagi。そろそろソロでのアルバムも聴きたいところ。

SKY-HI「I Think, I Sing, I Say ft. Reddy」

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日本語字幕でReddyのバースの飜訳が見れるのが嬉しい(同様に韓国語字幕がついているのも素晴らしい)。あと監督がSpikey Johnなのはわかるんだけど、製作がLuteなのがすごい。すごいインディーなイメージがあったのに、avexのチャンネルに載るのはすごい。・・・と思ったらなんとHi-Liteとは今年の6月から業務提携をしているんだと。

Bring Me The Horizon「MANTRA」

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イギリスの大人気バンド、待望の新曲。打ち込み色は薄めでなんだか正統派のロックバンドになってる。ありがちなMVも含めてなんだかものすごく味が薄い一曲。来年1月に出るアルバムの方に期待。

Logic「The Return」

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Logicが久々にSinatraというオルターエゴで登場。「Fuck mumble Make America rap again」というリリックが示す通り、現在のアメリカの音楽シーンにも警鐘を鳴らしている。上の「One Day」のような優等生ソングと、この曲のように粗野な言葉遣いで攻撃攻撃みたいな曲、どっちもできちゃうというか意識的にこういう二つを行き来しているようで、日本のSKY-HIはかなり影響を受けていそうだな、と。Kendrick Lamarと同じくらい、「中庸の怪物」なのかもしれない。

↓最後に今週触れた作品のリスト↓

<音楽>

Aaron Choulai x Daichi Yamamoto『Window』(2018)

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昨年のKOJOE『here』にも参加していたラッパーが、パプア・ニューギニアのビートメイカーと製作したEP。このビートメイカーは美術家としても活動していたり、BudaMunkともコラボ作を出していたり、なんだかとても不思議な人。BudaMunkとのEPでもそうなんだけどかなりアブストラクトなビートが得意みたい。そして肝心のDaichi Yamamotoもめちゃくちゃいい感じのラップをしてる。英語と日本語のバランスもいい感じ。ルックスもめちゃくちゃよくて、スターになってほしい。STUTSの新アルバムにも参加予定。

Aminé『ONEPOINTFIVE』(2018)

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ポートランドのラッパーによる「EP/LP/Mixtape/Album」(なんじゃそりゃ)。ポップさもドープさも攻撃性もゆるさも全てがバランスよくて、BGMにほんと最適。

Ariana Grande『Sweetener』(2018)

Brenda Navarrete『Mi Mundo』(2017)

BudaMunk『Movin' Scent』(2018)

BudaMunk & Aaron Choulai『the Melbourne sessions - EP』(2018)

COSMIC TEMPLE『TEMPLE and TREE means like a COSMIC』(2018)

Isaac HayesShaft』(1971)

Jason Mraz『Know』(2018)

Jay Park『ASK ABOUT ME』(2018)

Kojoe『2nd Childhodd』(2018)

あの名作『here』から一年も経たないうちに次のアルバムが到着。前作はゲストも沢山読んで、サウンド的にもボリューム的にもとにかく気合いの入ったものだったからか、今回はかなり力の抜けた作品だなあという印象。客演も5lack、仙人掌、RUDEBWOY FACEとかなり少なめ。Chaki Zuluがプロデュースしたグライムチューン「OH S**T」がかなりバキバキで印象に残るけども、あとは良くも悪くも聴き流せるアルバム。

KREVA『存在感 - EP』(2018)

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一度「音楽作るのがつまらなくなっちゃった」という精神状態から、「口をついて出て来る言葉を待って、それにトラックをつける作業をした」という製作工程を経たという5曲入りのEP。ワンテーマで繰り返しが多くてプリミティヴなラップが現在のマンブル・ラップとの奇妙なシンクロニシティを感じさせるところに彼の非凡さを感じる。

MIKRIS『HELL』(2018)

Moses Sumney『Aromanticism』(2017)

Natsu Summer『Natsu Summer & Dub Sensation』(2018)

Rei『FLY - EP』(2018)

RepYourSelf『RepYourSelf -それゆけ裏街道-』(2018)

Re-voltar, Ablo & しぇん『カミノシタ e.p.』(2018)

Seun Kuti & Egypt 80『Black Times』(2018)

Shawty Pimp『Comin' Real Wit It』(1995)

SPiCYSOL『Mellow Yellow』(2018)

TAMTAM『Modernluv』(2018)

Team + Noah + Repeat Pattern『KWAIDAN』(2018)

Trippie Redd『LIFE'S A TRIP』(2018)

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6ix9ineとのビーフで、なんとなく彼と一括りにしてたラッパーだけど、作風は全然違う。なんならめちゃくちゃ好みでした。

VaVa『Virtual - EP』(2018)

YG『STAY DANGEROUS』(2018)

石橋英子『The Dream My Bones Dream』(2018)

伊藤銀次『デッドリィ・ドライブ』(1977)

清水翔太『WHITE』(2018)

本日休演『けむをまけ』(2015)

欅坂46アンビバレント』(2018)

『160Or80』(2013)

<書籍>

小林雅明『ミックステープ文化論』(2018)

ミックステープ文化論

ミックステープ文化論

 

 本当にわかっているようでわかっていなかった「ミックステープ」について、通史的に概観しながらその定義の変化、しかしながらそこに通底する普遍的な何かを考察した1冊。読み応えが半端じゃない。

今週の事々(2018/08/13~19)

2度のワールド・チャンピオンに輝いたF1ドライバーフェルナンド・アロンソがF1からの引退を発表した。ぼくがF1を見始めた2004年頃には若手最有力であった彼だけど、それから10年以上経った今はグリッドで一番のベテランである。なんだかひと時代の終焉を感じる。ミナルディを経験しているドライバーが完全にいなくなるというのも含め。

結果だけ見ると彼のキャリアは2012年で事実上終了しているようなものだけど、チャンピオン争いや優勝争いから遠ざかっていたここ数年でさえ、彼を「現役最強」と見る向きは少なくなかった。それだけにもう一度チャンピオンは無理だとしても優勝、最低でも表彰台は見たかったところ。マクラーレンさん、頑張ってください。

来年はインディで走るんだろうなあ。佐藤琢磨との勝負が観れるかも?

これによってマクラーレンに一つ穴が生まれたわけだけど、その穴を埋めるのが同じくスペインの後輩(しかもアロンソを師と仰ぐ)サインツというのもなんだかいい。

しかしその穴を埋めてもなおバンドーンの更迭の噂は絶えず、中団以下のストーブリーグがにわかに熾烈になってきた。一部報道ではベルギーGPからストロールがフォースインディアに、オコンがマクラーレンに、そしてウィリアムズにクビサという話もあるけど、この辺は無限に組み合わせがあるからいちいち妄想して楽しむのも一興。

  • 新曲・新ビデオ

欅坂46「音楽室に片想い」

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『ガラスを割れ!』収録の「バスルームトラベル」の3人が再びユニット曲。なんだかとてもNegiccoっぽい。ということはものすごくいい曲って言うことなんだけど。トリオならではのミニマルな世界観がグー。そして長濱ねるがちょっとネクストレベルの可愛さ。

KICK THE CAN CREW「住所 feat. 岡村靖幸

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KREVAが歌えるのでラッパー二人とシンガー二人みたいな感じになってる。「住所、一緒のとこにしよう」という遠回しな言いかたがこの人たちっぽくてよい。

MuKuRo「This is OKINAWA feat. CHICO CARLITO」

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沖縄のラッパーMuKuRoのビートジャック作品からの一曲。ちょっと遅れた感もあるけど、日本で一番(良くも悪くも)アメリカに近い沖縄からこういう作品が出てくるのはめっちゃよい。「This Is Japan」以外でこの国でこの曲をやるなら沖縄しかないだろう。

NIcki Minaj「Ganja Burn」

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新アルバムの1曲目。完全に女王になってる。アートワークの世界観そのまま。「Fuck, yeah, 'cause a Queen is what I embody」ってかっこよすぎだろ。

BUPPON「終わりがあるから feat. ZAO」

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今年に入ってから呼煙魔、呂布カルマなどの作品に客演で参加、ZAOが元気。「アリとキリギリス」という名曲で大ファンになったぼくとしては嬉しい限り。本当にいいメロディを歌う。

私立恵比寿中学「熟女になっても中学生 feat. SUSHIBOYS」

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このコラボの報を聞いた瞬間に膝を打った。確かに今の「若手」と呼ばれるラッパーの中で一番アイドルとコラボしても嫌味がないのはSUSHIBOYSじゃん。というか何やっても嫌味ない。いやー、ここ一年くらいでこのポジション確立はすごい。

GEZAN「BODY ODD feat. CAMPANELLA, ハマジ, LOSS, カベヤシュウト, OMSB」

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ハードコア・パンクバンドのポッセカットというのもなんだかすごいんだけれど、そこにラッパーが二人参加しているというのもすごい。なんでもGEZAN主宰のレーベル「十三月の甲虫」と、OMSBやHi'Specらが中心となって立ち上げたレーベル「GHPD」の二組によるスプリットシングルなるものがリリースされていたらしい。

EMPiRE「EMPiRE originals」

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メンバーが一人BiSへ移籍、そしてオーディションから二人新メンバーが加わったEMPiREの新体制初ミニアルバムからの1曲。「オリジナルを作りたい」という「切実な願い」が込められた曲。いい曲なんだけど、真の「オリジナル」を作りたいならアイナ・ジ・エンド(BiSH)に振り付けてもらったりとかしてる場合か?

Disry「How Many Emcee's (Must Get Dissed) feat.切刃」

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久しぶりにこういうタイプのラッパーで「めちゃくちゃ上手い」と思った。でもだからこそ英語部分の発音が気になる・・・。「Emcee」のcの音は「sh」じゃなくて「s」。でもトラックもかっこいいし客演の切刃も良い。

Refugeecamp「Speedin'」

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10月リリースからの公開2曲目。FAKE-IDのフックがめちゃくちゃかっこいい。そしてMC松島もこないだのメチャクチャ語のEPが実を結んだのかフロウの切れ味が抜群。アルバムが本当に楽しみだ・・・。

BLACK BASS「LOOOP (MOMENT JOON REMIX)」

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6月に公開されていた曲にMOMENT JOONのヴァースがついたリミックス。今やその一挙手一投足が注目される存在になったMOMENTだけど、今回のヴァースもいい。というかこういうのもできるのな・・・。

RAq「Window」

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Itaq「独白の朝」

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日本における「エモ・ラップ」「クラウド・ラップ」のある種お手本のような二曲。メロもいいし、内省的なリリックも味わい深い。もっともっと注目されて欲しい界隈です。

↓最後に今週触れた作品のリスト↓

<音楽>

Aretha Franklin『Young, Gifted and Black』(1972)

August Greene『August Greene』(2018)

Camila Cabello『Camila』(2018)

chelmico『POWER』(2018)

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ついに、といった感じのメジャーデビュー。RIP SLYMEからの影響を方々で語っている彼女たち。確かにそのポジションって長い間空席だった感じがするし(少なくともメジャーという土俵に上がれるグループという意味では)、なんだか痛快。

二人ともラップ上手いし、歌も上手い。加えてルックスも華やかときたもんだ。こいつは売れなきゃおかしい・・・んだけど良くも悪くも「本格派」という雰囲気が楽曲からも出ていて、そういうのが受け入れられる空気感ではないことに歯がゆさを感じてしまう(彼女たちに一切非はない)。

とにかく仲がいい二人の空気感がよくわかるTwitterはかなりオススメのコンテンツです。

CHOZEN LEE and THE BANG ATTACK『THE ALBUM』(2018)

Conner Youngblood『Cheyenne』(2018)

CRAZYBOY『NEOTOKYO FOREVER』(2018)

CRAZY KEN BAND『GOING TO A GO-GO』(2018)

Da-iCE『BET』(2018)

DO or DIE『Headz Or Tailz』(1998)

Elton John『Honky Chateau』(1972)

Everything Is Recorded『Everything Is Recorded by Richard Russell』(2018)

Father John Misty『God's Favorite Customer』(2018)

Flatbush Zombies『Vacation In Hell』(2018)

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NY出身、Joey Bada$$らのPro Eraにも所属しているクルーのアルバム。東海岸サウンドの正統派後継者ではないだろうか。DMXに影響されたというダミ声のラップも今じゃ他では聴けなくなってしまった。JoeyやJadakiss、Denzel Curryらゲスト陣のラップも光ってる!

GITANS『GITANS』(2016)

Halestorm『Vicious』(2018)

Immortal Technique『Revolutionary Vol.2』(2003)

John Legend『Get Lifted』(2004)

Kid Capri『Classic Cuts - 52 Beats』(1988)

Louis Cole『Time』(2018)

The Magpie Salute『HIGH WATER 1』(2018)

Makaya McCraven『In The Moment』(2015)

Normcore Boyz『TOKIO TELEPORT』(2018)

Oneohtrix Point Never『The Station - EP』(2018)

Pablo Blasta『888』(2018)

SIRUP『SIRUP EP2』(2018)

Slum Village『Fantastic Vol.2』(2000)

Trey Songz『Passion, Pain & Pleasure』(2010)

TOSHIKI HAYASHI(%C)『THREE』(2017)

Virtuoso『World War One: The Voice of Reason』(2001)

Weny Dacillo『Late Night City』(2018)

出す音源がいちいちハズレなしという素晴らしい才能。Tokyo Young VisionのよしみということでNormcore BoyzのメンバーやYoung Daluなどがゲスト参加。

最近ようやくこういう若手MCたちの勢力図のようなものが頭の中で整理がつきそう。YENTOWN、kiLLa、BCDMG、Dirty Kansai、そこにKANDYTOWN、BAD HOP、Summitなどなど・・・。レーベルだったりクルーだったりどちらでもなかったり形は様々だけど、こういうコレクティヴを把握してると大分楽しみが大きくなるという意味で、かなり重要事項だと思う。

エレファントカシマシ『Wake Up』(2018)

高橋幸宏『EGO』(1988)

羊文学『若者たちへ』(2018)

森は生きている『グッド・ナイト』(2014)

今週の事々(2018/08/06~12)

  • SKY-HI『FREE TOKYO』

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avexというドが付くほどメジャーな会社から、無料配信のミクステを出すという行為にまず驚いた。これまでプライベート用のアカウントで曲をアップロードをしたりとかしていたけど、今回は完全にavexのチャンネルから。

肝心の中身も、かなりいい。最近のポップス寄りの曲は一切好きになれないでいたんだけど、こうやって時折ものすごくヒップ・ホップ色の強い作品を出してくるから完全に嫌いになれない。というかそこも含め戦略なんだろうけど。

客演陣も豪華。盟友SALU、「Story of J」をめぐる議論をTwitter上で繰り広げていたMoment Joon、若手注目株hideyoshi・Novel Core(旧:Core-boy。今回が彼にとってスタジオ録音された初のヴァースとなる)、韓国を代表するヒップホップレーベル・HI-LITE所属のラッパーReddyという面々。

SALUの超絶フロウとMomentの痛烈な皮肉が聞ける「Name Tag」ももちろん必聴なんだけど、個人的に注目したいのが「Dystopia」。

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「何も変わらないぜ / 人が死んだくらいじゃ / 何も変わらないぜ」という諦めから始まるこの曲が「I'm SKY-HI / たぶん何度死んだって変わらない」という力強い決意表明で締めくくられるという鮮やかさ。

そして「Story of J」の内容に関してネット上で議論になったことも「失敗したんなら謝る」と潔く宣言していたり、「日本国に普及『普通教』という名前のカルト / ああすれば蹴る / 焼き直しのラブソングならカルト / 俺もお前も片棒担いでると思うと嫌になるよ」と暗にAAAでの自身の活動にすら届いてしまうような自省もしていたりと、本当に抜け目ない。

ユリイカ』に載ってたインタビューでもものすごいいいことを言ってたので、これからの活動にものすごく期待してしまう。

  • 新曲・新ビデオ

アサキ『Moldy feat. ハシシ(電波少女)』

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術ノ穴の女性ラッパー/SSWの新曲。このレーベルにしては珍しいくらい(失礼)メジャーっぽい曲。でもめちゃくちゃ良い。ポストDAOKO枠、とくくってしまうのは早計だけれど、それくらいのポテンシャルがある。

欅坂46『Student Dance』

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こういうグループ・こういう曲に『時計仕掛けのオレンジ』と『雨に唄えば』を合わせたようなMVを作ってくるあたり、わかってる感がすごい。パンクスを標榜していたWACK勢(BiS、BiSHなど)が現在思いっきり商業主義に阿っている現状を考えると、こういう「レジスタンス」的なポジションを背負い続けているのはこのグループなのかもしれない。しかもAKBから続く日本で一番「メジャー」な位置で。曲もかっこいいし、何より金髪にした鈴本美愉がかっこよすぎる。

Silk City「Loud feat. GoldLink, Desiigner」

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Mark RonsonとDiploがタッグを組んでいたなんて。ハウス風、というか思いっきりハウスのトラックがかっこいいし、誰かが遠くで歌っているようなDesiignerのフックがなぜか異国情緒を醸し出す。不思議な一曲。

NEI「FAST CAR feat. KID FRESINO」

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「この速い車で / 駆け抜けてみたい」平易すぎるほどのラインだけど、新鮮に響く。C.O.S.A.やjjjが絶賛という触れ込みによる補正もあるかもしれないけど、この曲はめちゃくちゃよい。KID FRESINOがまたまた本気で主役を食いに来ててすさまじい。「Mason眠る今 / What's the purpose?」。

SEEDA vs 晋平太

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SEEDAがやりたいことはわかる。本場アメリカのように書いてきたリリックで、どぎついディスを半ば喋るようなスタイルでやる。でもそれにしてはディスがちゃちすぎたし(母親に対するディスは正直完全アウトだと思う、このご時世)、晋平太のフリースタイルのスキルを甘く見すぎていた。100-0で晋平太の勝ちだ。晋平太がかっこよすぎる。「韻踏んでスゲーこと言ってんの聞きてえっしょ」まさにその通り。

a.k.a. GAMI、RYKEY、DOGMA、MEGA-G、NIPPS「COVER UP」

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またまたタイアップもの。でも一切アングラ色を薄れさせてないのが(タイアップ相手の選択含め)うまいところ。漢が珍しくフロウで目立ってる。DOGMAも相変わらずフリーキーすぎる。

Kanye West「XTCY」

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突如公開された新曲。どうやらアルバムのアウトテイクらしい。でももともと『Ye』の前に作っていたアルバムを全部ボツにして『Ye』を発表したわけだから、こういうアウトテイクが今後続々と公開されてもおかしくない。余談だけど、Jimmy Kimmelの番組に出たカニエが「Pornhub見るよ」と発言したら永久会費無料権をもらったという話がサイコーすぎる。

Nicki Minaj「Sorry feat. Nas

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この曲のTracy Chapman「Baby Can I Hold You」サンプリングの許可が下りずアルバム『Queen』の発売が延期になったわけだけど、結局間に合わずアルバムには収録されず。でも翌日にこの曲が公開されたということはタッチの差だったわけで、惜しい。Nasのヴァースが「古き良き時代」を思わせる内容でよい。

↓最後に今週触れた作品のリスト↓

<音楽>

Baloji『137 Avenue Kaniama』(2018)

Bobby Sessions『RVLTN(Chapter 1): The Divided States of AmeriKKKa』(2018)

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きわめてスキルフル、そしてポリティカル。Def Jamから新しい才能がリリース。武器も持っていないのに複数回景観に打たれて亡くなったという彼のいとこJames Harperに捧げられた一枚で、怒りと立ち上がる強さが込められた作品。YouTubeでも再生回数は10万回を下回っていて、こういうラッパーはメインストリームにはなれないのだろうかと憂いてしまう。

CMDWN『ATLANADA 2』(2018)

D.A.N.『Sonatine』(2018)

David Byrne『American Utopia』(2018)

Dorian Concept『The Nature of Imitation』(2018)

Honey C『Wildfire』(2018)

Ice Cube『AmeriKKKa's Most Wanted』(1990)

Kendrick Lamar『good kid, m.A.A.d city』(2012)

Laurel Halo『Raw Silk Uncut Wood』(2018)

Lindigo『Komsa Gayer』(2017)

Lotic『Power』(2018)

Nicki Minaj『Queen』(2018)

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Cardi Bもそうだけど、南米やアフリカ音楽の要素を取り入れているのが面白いし(ジャケも最高、タイポグラフィを手掛けたのは日本人らしい)、現在のフィメールシーンの二大巨頭がそういうことをしているというシンクロニシティも興味深い。

それにしても、膨大な数のラッパーをネームドロップした「Barbie Dreams」や数々のセルフボーストを見るにつけ、彼女は非常にオーセンティックなラッパーなのだと再認識。スキルもあるし。男性がマッチョイズムの時代を終えどんどん内省的になっているのに対し(Jay-Zが浮気を謝る時代!)、女性がガンガン威張り散らすというのも痛快でいいじゃないか。

Nico『The End...』(1974)

O.C.『Word...Life』(1994)

Polaris『天体』(2018)

Rafuu『MUZEUM』(2018)

Schoolly D『Saturday Night! The Album』(1987)

SHISHAMOSHISHAMO 5』(2018)

SKY-HI『FREE TOKYO』(2018)

Sons of Kemet『Your Queen Is a Reptile』(2018)

Tarkan『Karma』(2001)

Tony Bennett『I Wanna Be Around...』(1963)

Travis Scott『ASTROWORLD』(2018)

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めちゃくちゃ音楽的に噛み応えのあるアルバムだった。豪華ゲスト陣の並びを見てもわかる通り現行のヒップ・ホップ / R&Bの総括みたいな作品。

X『VANISHING VISION』(1988)

カネコアヤノ『祝祭』(2018)

乃木坂46『ジコチューで行こう!』(2018)

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表題曲とかMVが公開されてる曲についてはもう書いてしまったので、3期生によるカップリング「自分じゃない感じ」が素晴らしいという話を。Lyrical Schoolのようなさわやかなポップスで、ちょっぴり挟み込まれるラップもかわいらしい。なんなら表題曲より夏っぽくて、今回の最大の収穫はこの曲。「地球が丸いなら」よりもこっちのMV作ってほしかったかも。

ユニコーン『PANIC ATTACK』(1988)

『London Is The Place For Me』(2002)

<映画>

『ムーンライト』(2016)

許されざる者』(1992)

<書籍>

ユリイカ 8月号 特集:ケンドリック・ラマー』

ユリイカ 2018年8月号 特集=ケンドリック・ラマー ―USヒップポップ・キングの肖像―

ユリイカ 2018年8月号 特集=ケンドリック・ラマー ―USヒップポップ・キングの肖像―

 

 フジロックのための来日に合わせた、1冊まるまるケンドリック・ラマーな1冊。新田啓子によるケンドリックの詞の中の「母」の考察、大和田俊之×磯部涼×吉田雅史の鼎談、Genaktionによる「中庸なラッパー」の頂点としてのケンドリックという考察などなどとにかく面白い論考が満載だった。そしてSKY-HIのインタビューも読む前のハードルをはるかに超える良さ。こんなにまっとうに考えてるのに肝心の曲が・・・と思っていたところにあの『FREE TOKYO』を出されてしまったので、お、おう・・・!となった。あと、奥田翔による「トーチ」の文章は面白く読めたのだが、巻頭の未邦訳インタビューの彼による訳が読みにくくてしょうがなかった。あれほどの文章が書ける人なのになぜ・・・?といった感じだ。でも何はともあれ、音楽ファン必読の書。